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相続税ミニコラム

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#98 続・相続税と贈与税の一体化

昨年の秋、「生前贈与がダメになる前に!」や「チャンスはあと2回だけ」というような雑誌の特集を多く目にしました。この相続税コラム(83.87)でも取り上げていますが、このような特集が組まれた理由は、税制改正大綱に「相続税と贈与税の一体化」に向けた方針が示されたことで、相続税対策の王道である「生前贈与」が早ければ令和4年から封じられるのではないかという懸念から、資産家のみならず中間層にまで関心が高まったためと考えられます。

結局、令和4年度税制大綱での導入は見送られましたが、今年末に決定される令和5年度税制改正大綱で、ついに一定の改正が行われると予想されています。

まずは、廃止がささやかれていた年間110万円の暦年贈与についてです。暦年課税は、時間をかけてコツコツ贈与すれば、結果的に多くの財産を無税で次世代に移転することができる制度です。これについては、自民党の宮沢洋一税制調査会長が、「世代間の資産移転を促進する観点などから、暦年贈与の110万円を縮小する必要はないと思う。なくすのは政治的にも難しい」と述べているほか、政府税調の中里実会長も、見直しを否定しているようです。このことから、暦年贈与は今後も存続する方針がほぼ固まったとみられています。

その一方、「持ち戻し」の期間については延長される可能性が濃厚のようです。「持ち戻し」とは、相続開始前の生前贈与を相続財産に加算(持ち戻し)して、相続税を計算するもので、死期が近付いてからの駆け込み贈与を防ぐ目的で定められています。

持ち戻しの期間は、日本では死亡3年前までとされていますが、イギリスは7年、フランスは15年など海外ではより長くなっています。持ち戻しの期間が仮に15年とされた場合、年齢や健康状態によっては、生前贈与の大半が無意味になってしまう可能性もあります。

持ち戻しの期間延長が令和5年度税制改正に盛り込まれたとして、一番気になるのはいつの贈与から対象になるかです。制度改正後の贈与が対象となるとすると、まさに冒頭の雑誌のタイトルどおり「チャンスはあと2回だけ」ということになるかもしれません。今年もあと残り1月半、年内の贈与について大いに検討するべきと考えます。

実際にどのような改正がされるかは不明ですが、どのような改正になったとしても、早期に相続対策に取り組むことが重要であることを再認識する機会となりそうです。

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#97 老人ホームに入居していた場合の小規模宅地等の特例

高齢化社会が進み、長年住んでいた自宅から老人ホームなどの介護施設へ入所する方が増えています。入所後自宅は空家となり誰も住まなくなった状態で相続が発生した場合、その自宅に係る敷地について小規模宅地等の特例はどうなるのでしょうか。

  個人が、相続等より取得した財産のうち、「相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」については、一定の要件を満たした場合、対象面積330㎡までの部分について80%を減額することができます。この制度を小規模宅地等の特例といいます。

  被相続人が老人ホームなどの施設に入所していた場合、自宅の敷地については、「相続の開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」ではないため、小規模宅地等の特例を適用することができなくなりますが、次の(1)又は(2)の事由により居住の用に供することができなかった場合には、小規模宅地等の特例を適用することができます。

1)要介護認定又は要支援認定を受けていた被相続人が次の住居又は施設に入居又は入所していたこと

・認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居

・養護老人ホーム

・特別養護老人ホーム

・軽費老人ホーム

・有料老人ホーム

・介護老人保健施設

・介護医療院

・サービス付き高齢者向け住宅

2)障害支援区分の認定を受けていた被相続人が障害者支援施設などに入所又は入居していたこと

  上記要介護認定等を受けていた者には、介護保険制度の基本チェックリスト該当者も対象となります。

またその要介護認定等を受けていたかどうかの判定時期は、相続開始の直前で判定することになります。

したがって、老人ホーム等に入居等をする時点において要介護認定等を受けていない場合であっても、相続開始の直前において要介護認定等を受けていれば、小規模宅地等の特例を適用することができます。

 なお、被相続人が老人ホームなどに入所していた場合で、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等について小規模宅地等の特例を受けるためには、相続税の申告書に以下の書類を追加で添付する必要があります。

 ・被相続人の戸籍の附票の写し

 ・介護保険の被保険者証の写し等で要介護認定等を受けていたことを明らかにする書類

・施設への入所時における契約書の写しなど入居等をしていた施設等の名称及び所在地並びにその老人ホーム等が特例の適用対象となる一定の施設等に該当することを明らかにする書類

 

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#96 暗号資産(仮想通貨)と相続税

暗号資産(仮想通貨)は、投資の手段として現在でも活発な取引が行われています.

暗号資産は財産的な価値を持つものであり、亡くなった人から相続すれば相続税の課税対象になります。暗号資産を相続した場合、どのように評価すれば良いのでしょうか。

暗号資産とは、財産的な価値を有し、銀行などの第三者を介さずにインターネット上でやり取りされる電子データ資産のことをいいます。ビットコイン、イーサリアム、リップルなどが主要な暗号資産として知られており、取引所や販売所などで入手、換金することが可能です。

暗号資産は、日本円やドル通貨のような法定通貨とは異なり、価値を裏付けできる資産でないことなどから資産価値が大きく変動しています。そのため、通貨として決済に使われるというよりは、価格変動に着目して投資の対象とされているのが実情です。

暗号資産には決まった評価方法はありませんが、他の資産と同様に、相続発生日の価額にもとづいて評価する必要があります。

暗号資産の相続税評価額は「活発な市場が存在する場合」と「活発な市場が存在しない場合」で次のように評価方法が異なります。

<活発な市場が存在する場合>

暗号資産交換業者が発行する相続開始日の残高証明書の金額

または

暗号資産交換業者が公表している相続開始日における取引価格

 <活発な市場が存在しない場合>

その暗号資産の内容、性質、取引実態等を勘案して個別に評価

 「活発な市場が存在する」場合とは、取引所や販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われており、継続的に価格情報が提供されている場合をいいます。被相続人が持っていた暗号資産が国内の複数の取引所で取引されているときは「活発な市場が存在する」場合に該当すると言えます。逆に「活発な市場が存在しない」場合とは、取引所や販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われておらず、継続的に価格情報が提供されていない場合をいいます。一つの取引所でしか取引できない場合も「活発な市場が存在しない」場合に該当すると思われます。

暗号資産の保管方法は、取引所に保管する方法と取引所外のウォレットと呼ばれるウェブや端末上の財布に保管する方法があります。国内の取引所に保管している場合は、相続が発生したことを連絡すれば引き出すことが可能です。ウォレットで保管している場合には、パスワードを設定する必要があり、相続人がそのパスワードを知らなければ、暗号資産を引き出すことはできません。そのような場合でも暗号資産を相続財産に含めなければなりません。相続人が本当にパスワードが分からないのか、あるいは分からないふりをしているだけなのか確認のしようがなく、相続財産に含めないと課税の公平性が損なわれる恐れがあるからです。

残される相続人のためにも、生前に自己の暗号資産を把握し、パスワードなども含めた明確な遺言を残すことも大切ではないでしょうか。

 <参考>

国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」

virtual_currency_faq_03.pdf (nta.go.jp)


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#95 生命保険金は遺留分の対象に含まれるのか?

 生命保険金は、原則として遺留分の対象に含まれませんが、例外的に含まれる場合もあります。生命保険金が、遺留分に含まれるかどうかで、遺留分の額は大きく左右されます。そのため、相続開始時に被相続人が被保険者となっていた生命保険金があった場合、遺留分に含まれるか含まれないかをしっかり理解しておくことは大切です。

 遺留分とは、法律によって決められている相続財産の最低限の取り分のことです。
遺留分の割合は、直系尊属(親や祖父母)のみが相続人の場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合は2分の1です。被相続人の兄弟姉妹は遺留分の対象ではありません。
 生命保険金は、原則として遺留分の対象とならないといわれています。
 これは、平成16年10月29日最高裁判決において、「死亡保険金請求権は、民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらない」とあるからです。
 より多くの財産を渡したい相続人を生命保険金の受取人にしておくことで、財産を渡したくない相続人の遺留分を生前から減らしておくことができます。

 ただし、あくまで原則として生命保険金は遺留分には含まれませんが、相続人間に著しい不公平が生じる場合は、例外的に遺留分に含まれる場合があります。
 しかし、どのようなケースが遺留分に含まれるかは、事案ごとに異なり、自分自身で判断することは簡単ではありません。また、この点に関して判決が十分蓄積されていないため、議論が尽くされていないというのも現状です
 生前の相続対策を確実に行っておきたいのであるなら、相続の専門家に事前に相談することをお勧めします。


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#94 外貨建て資産の評価

 このところ急速に円安が進んでいます。年初は115円くらいで推移していたものが、7月14日には一時1ドル=139円台をつけ「歴史的円安」と言われています。
 私たちにとって円安は、プラスになる面とマイナスになる面がありますが、相続財産に外貨建ての資産があった場合、どのような影響があるでしょうか。
 相続税を計算する場合の外貨は、邦貨に換算する必要があります。
 この場合の邦貨への換算は、原則として、納税者の取扱金融機関(外貨預金等取引銀行が特定されている場合は、その取引金融機関)が公表する課税時期(相続又は遺贈の場合は被相続人の死亡の日)における最終の外国為替相場(対顧客直物電信買相場:TTB)またはこれに準ずる相場により行います。この「対顧客直物電信買相場」とは、金融機関が顧客から外貨を買って邦貨を支払う場合の相場をいいます。課税時期にその相場がない場合は、課税時期前の相場のうち課税時期に最も近い日の相場によります。
 このため、ドル建て資産を相続した場合、現在のように円安となっていれば評価額が上がり、相続税額も多くなります。
 外貨預金の相続税評価自体はそれほど難しいわけではありませんが、外貨はそのまま納税に使えないため、日本円で納税資金を準備しなければならないことに注意が必要です。    
 また、換算に用いる為替相場は、相続の時であるのに対し、実際に円に換えるのは、亡くなった後になるため評価が異なり、為替の影響を受けることにも注意が必要です。
 日本の超低金利の影響やリスク分散のため外貨建て資産を保有している人も多くなっています。また、近年は海外の金融機関に外貨を預けている人も増えてきていると思われますので、申告漏れにならないよう注意が必要です。


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#93 相続による土地の移転登記等に対する登録免許税の免税

近年、不動産(土地・建物)を所有されている個人が亡くなった場合に、相続登記がされていないケースが存在しているようです。所有者が亡くなったのに相続登記がされていないと、登記簿を見ても持ち主が分からず、災害の復興事業や取引が進められないなど様々な社会問題の要因となっています。
 そこでこのような問題を防ぐために民法等の改正により、令和6年4月1日以降は相続登記が義務化され、相続で不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記をする必要があります。

 また税制面からもこの問題に対処するため、平成30年度税制改正において、(1)相続により土地を取得した個人が登記を受ける前に死亡した場合の登録免許税の免税措置と(2)少額の土地を相続により取得した場合の登録免許税の免税措置が設けられました。
 この免税措置について、令和3年度税制改正により(2)の免税措置の対象となる登記として、表題部所有者の相続人が受ける所有権の保存登記が追加され、さらに令和4年度税制改正により、免税措置の適用期限が令和7年3月31日まで延長されるとともに(2)の免税措置の適用対象が全国の土地に拡充され、不動産の価額が100万円以下(改正前は10万円以下)の土地であれば、この免税措置が適用されることになりました。

(1)相続により土地を取得した個人が登記を受ける前に死亡した場合の登録免許税の免税措置

 相続(相続人に対する遺贈も含みます。)により土地の所有権を取得した個人が、その相続によるその土地の所有権の移転登記を受ける前に死亡した場合には、令和7年3月31日までに、その死亡した個人をその土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さないこととされています。

(2)少額の土地を相続により取得した場合の登録免許税の免税措置

 個人が令和7年3月31日までに、土地について相続(相続人に対する遺贈も含みます。)による所有権の移転の登記又は表題部所有者の相続人が所有権の保存の登記を受ける場合において、不動産の価額が100万円以下の土地であるときは、所有権の移転の登記又は表題部所有者の相続人が受ける所有権の保存の登記については、登録免許税を課さないこととされています。
 なお上記の不動産の価額は、市町村役場で管理している固定資産課税台帳に登録された価格がある場合にはその価格、固定資産課税台帳に登録された価格がない場合には登記官が認定した価額になりますので、その不動産を管轄する登記所に問い合わせる必要があります。

国税庁「相続による土地の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置について」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0018003-081-01.pdf

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#92 成年後見制度

相続人の中に認知症の方がいる場合、相続の手続きをどのように進めればよいでしょうか。相続した財産は、遺言書がない限り、相続人全員で遺産分割協議を行って分け合います。遺産分割協議を終了するためには、相続人全員の合意が必要となります。しかし、相続人の中に認知症の方がいると、その相続人が自筆で遺産分割協議書にサインしたとしても、内容を理解しないまま署名捺印をしたと判断されると、その遺産分割協議書は無効となってしまうことがあります。

だからといって、認知症の相続人を除いて遺産分割協議をしても、その協議は無効です。相続人全員の署名捺印がない遺産分割協議書では、預貯金の払い戻しや不動産の名義変更などの手続はできません。

 そのため、認知症により判断能力が不十分な相続人がいる場合は、成年後見制度の利用を検討する必要があります。

成年後見制度とは、自分で物事を判断できない方の権利を守るために、成年後見人が財産の管理や法律行為を代わりに行う制度です。支援される人を成年被後見人といい、例えば、認知症、知的障害、発達障害、精神障害などを患っていて、判断能力を欠いている常況にある方が該当します。

 成年後見制度を利用することによって、認知症の相続人がいたとしても遺産分割協議を進めることができます。

成年後見人になるために特別な資格は必要ありません。通常は日頃から面倒を見ている親族を成年後見人に立てるのが望ましいと言えます。ただし、共同相続人が成年後見人となった場合には、利益相反が生じるため、特別代理人の選任が必要となります。また、遺産分割協議が成立したからといって成年後見人の任期が終了となるわけではありません。成年後見人は、判断能力のない本人の権利や利益を保護するために選任された人ですので、一度選任されると特別な事情がない限りは、本人が死亡するまで成年後見人としての業務を続けなければなりません。

 

成年後見人を立てないで相続するには、生前に遺言書を書いておくことをおすすめします。遺言書で遺産の分配方法を指定しておけば、相続人はそのとおりに遺産を受け取ることになり、遺産分割協議をする必要はありません。遺言による相続は相続人が行う法律行為ではないので、意思能力がない認知症の相続人であっても、成年後見人を立てることなく遺産を受け取れます。

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#91 遺産を寄付した場合の課税関係

最近、ふるさと納税やUNHCRへのウクライナの緊急支援寄付といった所得税に関する寄付の相談だけではなく、遺産の一部を学校や公益法人等に寄付したい場合の相談を受けることがあります。遺産を寄付する場合、「どこへ」「どうやって」寄付するかにより課税関係が大きく異なります。

寄付の方法は、「相続人に寄付を託す」と「遺言により寄付する」の2つあります。

 

1.     相続人に寄付を託す<相続財産寄付>

相続や遺贈によって取得した財産を相続人が寄付した場合、原則、相続税が課されますが、以下の要件を満たすと相続税が課されません。

(1)     寄付した財産は、相続や遺贈によって取得した財産そのものであること

(2)     相続税の申告期限(10ヶ月)までに寄付すること

(3)     寄付した先が国や特定の公益法人等であること

(4)     相続税申告書に寄付した財産の明細書及び文部科学省が発行する「相続税非課税法人証明書」を添付すること

【ポイント】

・取得した財産そのものしか認められません。

・相続した不動産や株式を現金化したり、遺産分割協議前に香典や相続人の預金から寄付したりすると要件を満たしません。

・証明書を文部科学省に申請して発行してもらうまで、約12ヵ月かかります。

 

2.     遺言により法人に対して寄付する

遺言で法人に対して寄付した場合には、相続税は個人にのみかかる税金のため、非課税となります。代わりに、受け取った法人に対して相続税ではなく法人税が課されます。ただし、一定の公益法人に対する寄付は法人税も非課税となります。

【ポイント】

・寄付する財産が現預金等であれば問題ありませんが、不動産や株式等を寄付する場合には、被相続人が時価で譲渡したとみなして譲渡所得税が課されますので、被相続人の準確定申告が必要となります。

 

一概にはいえませんが、お勧めなのは、遺言で現預金を寄付することです。そうすれば、寄付した財産は、相続財産から除外され相続人にはなにも税金が発生しませんし、相続開始後相続人が10ヶ月以内にバタバタする必要もないからです。また、上記13)の要件を満たさない法人にでも寄付することができます(同族法人への寄付は別の課税関係が生じる場合があります)。ご自分の意思をきっちり伝え、事前に適切な準備をしておくことが大切です。

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#90 成年年齢引き下げと遺産分割協議への影響

令和441日より、成年年齢が現行の20歳から18歳に引き下げられます。

明治9年に日本で成年年齢が20歳とされて以来、約140年ぶりの見直しとなります。

 4月からは18歳の人も成人として扱われ、親の同意を得ずに契約ができるようになったり、住む場所や進路決定についても自分の意志で決められるようになります。

 成年年齢の引き下げは、税にも影響を及ぼします。TIMELY@Azure第160号にて既に紹介しておりますが、影響を受ける相続税・贈与税の規定の主なものは以下の通りです。

①未成年者控除

②相続時精算課税制度

③事業承継税制

④住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税

⑤贈与税の税率の特例

 ①の未成年者控除は、財産の取得時に相続人が未成年であると税額が控除できるという制度です。成年年齢引き下げにより、これまでより控除できる額が減ることになります。

一方、②から⑤では、20歳以上という要件が18歳以上に改められることで、この制度を2年早く利用できるようになりますので、生前贈与を使った相続税対策を2年前倒しする検討が必要かもしれません。

 税制の論点ではありませんが、成年年齢の引き下げは、遺産分割協議という相続に関する重要な手続きに影響を及ぼします。未成年は遺産分割協議に参加できないため、未成年者がいる場合は、家庭裁判所の審判によって特別代理人を選任する必要があります。この特別代理人を選任しなければならない年齢も20歳から18歳に引き下げられるため、相続人に18歳・19歳の人がいる場合には、令和4年4月1日以後に遺産分割協議をすれば、特別代理人選任などの手続きをする必要なく、遺産分割協議を成立させることができます。

 成年年齢の引き下げは、1819歳の人の行動の幅を広げる一方で、不当な契約を結ばされた場合でも簡単に取り消すことができなくなるなど、その行動に責任が求められます。

 遺産分割協議についても、不利な協議に同意させられてしまうというリスクもあるため、

未成年のうちから契約に関する知識や、財産に関する教育が重要となると共に、子を持つ親としても、どのような事が変わるのかをしっかり理解しておくことが必要です。


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#89 成年年齢引き下げに伴う相続税・贈与税への影響

平成306月に民法の一部を改正する法律が公布され、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げられ、令和441日から施行されることとなりました。

 飲酒・喫煙などの年齢制限については20歳のまま維持されますが、今後18歳に達すると成年となり親の同意がなくても、携帯電話やクレジットカードの契約、ローンを組んだり一人暮らしで部屋を借りたりすることができます。

 

相続税や贈与税においても20歳を基準としているものがあり、改正により見直しが行われ、主な項目について以下のものがあります。

 

1)未成年者控除

 相続等により財産を取得した者が20歳未満である場合には、10万円にその者が20歳に達するまでの年数を乗じて計算した金額が控除されますが、改正後の令和441日以後に開始した相続から18歳へ引き下げられます。

 

2)相続時精算課税制度

 相続時精算課税制度は、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、贈与年の11日において20歳以上の子又は孫に財産を贈与した場合に暦年課税に代えて選択できる制度ですが、改正により令和441日以後の贈与から18歳以上へ変更されます。

 

3)贈与税の税率の特例

 贈与税の税率は、通常の場合の贈与税の税率(一般税率)と直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例(特例税率)があり、贈与価額によって一般税率より低い税率が設定されています。特例税率は贈与年の11日において20歳以上の者が父母や祖父母などの直系尊属から譲り受けた場合に適用がありますが、改正により令和441日以後の贈与から18歳以上の者へ変更されます。

 

4)非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度

 非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度(一般措置及び特例措置)における受贈者の年齢要件が改正されます。具体的には「経営承継受贈者」(一般措置)及び「特例経営承継受贈者」(特例措置)の要件に、それぞれ贈与の日において20歳以上であることとなっているため、18歳に改正されます。

 

 令和4年中に親が子に贈与をしようとする場合、(3)にありますように贈与を受ける子の年齢によって贈与税の税率が異なります。

令和411日に18歳又は19歳の子に、令和4331日以前に贈与する場合と令和441日以後に贈与する場合では贈与税率が異なる場合がありますので贈与をする時期には注意が必要です。


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#88 令和4年度税制改正による相続税・贈与税の影響

先月のコラムで相続税と贈与税の一体化について紹介しましたが、今回は令和4年度税制改正大綱により改正される予定の主な項目を紹介します。

 

・住宅取得等資金の贈与税非課税

住宅を購入する際、両親や祖父母などの直系尊属から資金の贈与を受けた場合に一定の要件を満たすときは贈与税が非課税とされる制度です。

今回の改正点は、

1)適用期限が現行令和31231日から令和51231日まで2年延長

2)非課税限度額は、次の区分に応じた金額

  ア)耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋は1,000万円

イ)上記以外の住宅用家屋 500万円

3)中古住宅の場合の適用要件緩和

(築年数要件を廃止し、新耐震基準に適合している住宅用家屋であること。なお、登記簿上の建築日付が昭和5711日以降の家屋については、新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなされます。)

 (4)適用対象年齢を現行の20歳以上から18歳以上へ引き下げ

 

・相続に係る所有権移転登記に対する登録免許税の特例措置の拡充及び延長

所有者不明土地の解消に向けて不動産登記法が改正され、これまで義務のなかった相続登記が義務化されます。

それに伴い、登録免許税の免税措置について、次の要件としたうえで、適用期限(令和4331日)が3年延長されます。

1)適用対象となる土地の範囲に、市街化区域内の土地を追加

2)適用対象となる土地の価額の上限を現行10万円から100万円に引き上げ

 

・非上場株式等に係る納税猶予の特例制度

事業承継税制とは、中小企業の後継者が先代経営者等からの贈与、相続又は遺贈により取得した非上場株式等に係る贈与税・相続税の一部又は全部の納税が猶予される制度で中小企業の円滑な事業承継を支援するために設けられています。

非上場株式等に係る納税猶予の適用を受けるためには特例承継計画を提出する必要がありますが、その提出期限について現行令和5331日から令和6331日に延長されます。


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相続税について

民法

信託

相続人の範囲

相続財産の範囲・計算方法

#86 デジタル遺産と相続
#85 未支給年金に係る相続税の課税関係
#84 住宅ローンの団体信用生命保険
#80 小規模宅地等の特例~貸付事業用宅地
#73 特定の一般社団法人等に対する相続税の課税
#70 災害で被害を受けた場合の相続税の特例について
#69 生命保険契約に関する権利の申告漏れに注意
#63 2022年生産緑地問題~その日が来る前に考えておきたいこと~
#60 地積規模の大きな宅地の評価(2)-面積要件に注意-
#59 マイナス相続でも相続税がかかる場合
#56 地積規模の大きな宅地の評価
#50 預貯金債権の仮払い制度
#49 相続税の連帯納付義務とは
#47 災害を受けた場合の相続税・贈与税の取扱い
#43 相続を放棄した者が受け取った生命保険金には相続税はかかるか
#36 相続税における障害者に対する制度
#29 相続した財産を譲渡した場合
#28 取引相場のない株式の評価の見直し
#26 孫が受取人の死亡保険金
#25 寄与分を取得した相続人に対する課税
#24 配偶者に対する相続税の軽減
#23 相続人以外の者が財産を取得した場合
#22 みなし相続財産~生命保険~
#21 相続人の中に成年被後見人がいる場合
#20 相続人の中に未成年者がいる場合~Part2
#19 退職金と弔慰金
#18 相続人の中に未成年者がいる場合
#16 相続時精算課税
#15 相続税の税額控除
#14 相続開始前3年以内に贈与を受けた財産
#13 相続の承認・放棄
#12 短期間に重ねて相続があった場合
#10 相続税の加算
#9 相続財産から控除できる債務
#7 遺言によってできること
#6 相続税がかかる財産の範囲
#3 相続税の基礎控除額
#2 名義預金にご用心

相続税がかからない財産

相続税の申告期限・納税

事業承継

税務調査

贈与税について

#89 成年年齢引き下げに伴う相続税・贈与税への影響
#88 令和4年度税制改正による相続税・贈与税の影響
#87 相続税と贈与税の一体化
#83 相続税・贈与税の一体化!?
#81 コロナ禍における住宅取得資金贈与の非課税について
#76 路線価補正と贈与税申告
#75 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直しについて
#62 年末に向けた贈与の検討
#61 消費税率引上げに伴う住宅取得資金贈与の非課税枠の拡大
#58 「教育資金の一括贈与非課税措置」、「結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置」の見直し
#53 贈与税の住宅取得等資金の特例を受けた場合の注意点
#47 災害を受けた場合の相続税・贈与税の取扱い
#46 贈与と資産運用
#42 結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合
#41 贈与税の配偶者控除と生前贈与加算
#40 教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
#38 負担付贈与をした場合の課税はどうなるのか
#37 贈与税のかからない財産とは
#35 贈与税の配偶者控除
#34 住宅取得等資金の贈与
#16 相続時精算課税
#14 相続開始前3年以内に贈与を受けた財産

相続税に関連する他の税法について

所得税