最新税制

過去の税制

2023年
2022年
2021年

令和6年12月3日 海外赴任者が一時帰国した場合の源泉徴収漏れに注意

所得税法上、1年以上の予定で海外子会社勤務が決定した従業員は、いわゆる住所の推定規定により非居住者に該当します。


 非居住者となった海外赴任者が日本に一時帰国した場合、一時帰国期間が1年以上となるか否かで課税関係が異なり、特に一時帰国期間が1年未満のケースでは注意が必要になります。


 日本親会社が一時帰国期間1年未満の海外赴任者に対して国内源泉所得の支払いをする場合、源泉徴収(20.42%)が必要となります。

 国内源泉所得とは、国内で行った勤務に係る給与等のことで、一時帰国中に日本でリモートワーク等により海外子会社の業務に従事すると、その業務に係る給与等は「国内において行う勤務」に係る給与等として、国内源泉所得に該当します。


 一方、海外子会社が一時帰国期間1年未満の海外赴任者に対して業務に係る給与等を支払う場合、赴任先の国と日本との間の租税条約締結及び届出書の提出の有無等によって、課税関係が異なります。

 租税条約の締結等がある場合、日数要件等の一定の要件を満たせば短期滞在者免税の対象で免税となり、支払時に源泉徴収は不要となります。

 租税条約の締結がない場合、又は、租税条約がある場合でも短期滞在者要件の日数要件を超過した場合は、短期滞在者免税の対象外となり全ての期間に係る給与等に源泉所得税又は準確定申告を行う必要があります。


 なお、海外子会社ではなく、日本親会社の駐在員事務所、海外支店等が支払う場合、租税条約締結国であっても、日本親会社の支払いと同様の取扱いになるため、短期滞在者免税の対象外で源泉徴収(20.42%)が必要となります。


以下、国税庁ホームページをご参考にしてください。

・No.2884 非居住者等に対する源泉徴収、源泉徴収の税率

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2884.htm

・No.2885 非居住者等に対する源泉徴収のしくみ

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2885.htm

・No.2888 租税条約に関する届出書の提出(源泉徴収関係)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2888.htm


令和6年11月5日 令和7年1月からスマホ用電子証明書でe-Tax送信が可能になります

国税庁は令和71月から、e-Taxで「スマホ用電子証明書」の利用を開始することを公表しました。

 

 スマホ用電子証明書とは、令和55月に開始したスマートフォン向けの公的個人認証サービスのことです。スマホ用電子証明書を搭載できる対象端末は、Androidのうち約200端末となっており、令和61015日時点では、iPhoneiOS)は対象外となっています。※iOSについては、令和7年春にリリースできるよう、取り組みが進んでいます。

 

 e-Taxでは、マイナンバーカードを利用して確定申告書の送信等をする場合、これまではマイナンバーカードを手元に用意してスマホ等で読み取る作業が必要でしたが、令和71月からは、スマホ用電子証明書を利用すれば、マイナンバーカードの読み取りが不要になります。

 さらに、スマホ用電子証明書搭載の端末の生体認証機能等を利用すれば、利用者証明用電子証明書のパスワード(数字4桁)の入力が省略できます。

 

 なお、スマホ用電子証明書を搭載するには、申込手続きが必要で、マイナポータルアプリから申込みを行うことができます。

 またAndroidについては、令和6年度の年末調整の場面でも国税庁が提供する年調ソフトにてスマホ用電子証明書の利用が可能です。

 

詳細につきましては、以下国税庁、デジタル庁のHPをご参照ください。

 

<国税庁>

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/r6_smart_shinkoku/index.htm

<デジタル庁>

https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/smartphone-certification

<スマホ用電子証明書に対応しているスマートフォン>

https://faq.myna.go.jp/faq/show/7261?site_domain=default

令和6年10月1日 代表取締役等住所非表示措置について

 令和6年10月1日から施行される「商業登記規則等の一部を改正する省令(法務省令第28号)」により、株式会社の代表取締役、代表執行役、または代表清算人(以下「代表取締役等」といいます)の住所について、登記事項証明書等において非表示とすることができる措置が導入されました。この措置は、代表取締役等のプライバシーを保護し、安心して起業できる環境を整えることを目的としています。ただし、最小行政区画まで(東京都においては特別区まで、指定都市においては区まで)は記載されます。


住所を非表示とするには、設立の登記や代表取締役等の就任の登記、代表取締役等の住所移転による変更の登記など、代表取締役等の住所が登記されることとなる登記の申請と同時に登記官に申し出ることが必要となります。したがって、すでに登記がなされている代表取締役等は、住所を非表示とする申出をすることができないため留意が必要です。また、閉鎖事項証明書や閉鎖登記簿謄本に記載された住所を含め、過去の住所については対象外となります。


非表示措置が講じられた場合には、登記事項証明書等によって会社代表者の住所を証明することができないため、金融機関から融資を受ける際に不都合が生じたり、不動産取引等に当たって必要な書類(会社の印鑑証明書等)が増えたりするなど、一定の支障が生じることが想定されます。そのため、実施の際には、このような影響があり得ることについて慎重かつ十分な検討が必要です。


詳細については、法務省HPをご参照ください。

法務省:代表取締役等住所非表示措置について

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00210.html#:~:text=%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E5%8F%96%E7%B7%A0%E5%BD%B9%E7%AD%89%E4%BD%8F%E6%89%80

令和6年9月2日 「国税庁 定額減税Q&Aを改訂」

 国税庁は令和6年8月20日、「令和6年分所得税の定額減税Q&A(概要・源泉所得税関係)」を改訂しました。

 定額減税では、令和6年の年末調整時点の定額減税額と年間の所得税額を精算する年調減税事務を行います。年調減税額の計算の対象となる同一生計配偶者や扶養親族の人数等は、従業員等から提出を受けた扶養控除等申告書や配偶者控除等申告書から把握します。令和6年中の所得金額の見積額が1,000万円超の従業員等の同一生計配偶者を年調減税額の計算に含める場合は、年末調整時までに従業員等から「年末調整に係る申告書」の提出を受ける必要があります。

「年末調整に係る申告書」の様式は、基礎控除申告書、配偶者控除等申告書及び所得金額調整控除申告書との兼用様式になっており、当該兼用様式は9月下旬に国税庁のホームページに掲載されます。

また、年調減税事務では、国税庁が公表している「年末調整計算シート」や「令和6年分給与所得に対する源泉徴収簿」などを利用しますが、源泉徴収簿は年調減税額の控除計算に対応していないため、その余白や別紙に計算の内容を記載することとされていましたが、今回、年調減税額の控除計算に対応した「令和6年分年末調整計算表」も9月下旬に国税庁のホームページに掲載されます。

 

出典;「週刊税務通信 No.3815

国税庁 令和6年分所得税の定額減税QA(概要・源泉所得税関係【令和6年8月改訂版】)

(問8−1、問8−3、問8−9、問8−11、問9―3)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0024001-021.pdf

令和6年8月1日 森林環境税について

 「森林環境税」は、令和6(2024)年度から、個人住民税均等割の枠組みを用いて、国税として1人年額1,000円を市町村が賦課徴収するものです。徴収された「森林環境税」は、国によって「森林環境譲与税」として市町村へ譲与されます。

 パリ協定で日本は、2030年度の温室効果ガスの排出を2013年度の水準から26%削減することが目標として定められました。温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保することが森林環境税の目的とされています。

 

 森林環境税は2024年度から開始されましたが、森林環境譲与税は2019年度から開始しています。森林環境譲与税の活用例には以下のものがあげられます。

・森林経営管理制度に基づく市町村による間伐等の実施(秋田県由利本荘市)

・重要インフラ施設周辺の森林整備(千葉県成田市)

・市内小学校の内装木質化の実施 (神奈川県小田原市)

・上下流連携による森林整備(愛知県名古屋市・長野県木祖村)

・林業アカデミーによる人材の育成・確保 (佐賀県)

 

総務省

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/04000067.html

総務省 森林環境譲与税の活用事例

000932376.pdf (soumu.go.jp)

林野庁

https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/kankyouzei/kankyouzei_jouyozei.html

令和6年7月1日 特定資産の買換え特例を受けるために必要な届出

 法人が一定の土地や建物を買い換えた場合には、譲渡益の一定割合の圧縮記帳が認められる「特定資産の買換特例」を適用することができます。同特例について、令和5年度税制改正により、令和641日以後に譲渡資産を譲渡し、同日以後に買換資産を取得する場合は、所轄税務署長に「特定の事業用資産の買換えの特例の適用に関する届出書」を提出することが必要とされました。

この届出書には、譲渡資産の価額や取得見込みの買換資産の取得予定年月日について記載し、「譲渡資産の譲渡日と買換資産の取得日のいずれか早い日を含む三月期間の末日の翌日から2か月以内」に提出が必要となります。三月期間については下記パンフレットよりご確認ください。

あくまで譲渡資産の譲渡と買換資産の取得の両方が、令和641日以後に行われる場合に適用されるため、いずれか一方が、令和641日より前に行われた場合には、同届出書の提出は不要となります。

なお、取得見込みの買換資産等を記載した届出書の提出後に、売主などの関係者との交渉が成立しなかったこと等の理由により、届出書に記載した取得見込みの買換資産とは別の資産を取得した場合でも、届出書に記載した買換資産に該当するものとして同特例を適用することができます。

 

〇国税庁パンフレット

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/joto-sanrin/0024005-147.pdf 

〇特定資産の買換え特例について 国税庁タックスアンサー「No.5651 特定資産を買い換えた場合の圧縮記帳」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5651.htm 

令和6年6月4日 軽減税率対象の給食費基準が変更されました

 有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの特定の施設において提供される食事の費用(給食費)について、「一食当たり640円(税抜)以下でその累計額が一日1,920円まで」の金額基準を満たす場合は、消費税の軽減税率(8%)の対象となります。

 この金額基準が、厚生労働省の告示である「入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に関する基準」の一部改正に伴い、令和661日から「一食当たり670円以下でその累計額が一日2,010円まで」に引き上げられました。

 

軽減税率の対象となる「飲食料品の譲渡」には、「相手方が指定した場所において行う役務を伴う飲食料品の提供」、いわゆるケータリングや出張料理は含まれないこととされています。しかし、「相手方が指定した場所において行う役務を伴う飲食料品の提供」でも、有料老人ホームや学校等の一定の施設において金額基準を満たす飲食料品の提供は、軽減税率の対象となります。

 

給食費の金額基準の見直しにより、例えば「一食650円」の食事では、531日までの提供分は一食640円以下の金額基準を超えるため、標準税率(10%)となりますが、61日以後の提供分は一食670円以下の金額基準が適用されるため、軽減税率(8%)の対象となります。また、「朝食・昼食・間食・夕食」が各500円で一日累計2,000円のケースでは、531日までは、朝食から夕食までの累計額が一日累計1,920円までの金額基準を超えるため、朝食・昼食・間食は軽減税率の対象となりますが、夕食には標準税率が適用されることになります。一方、61日以後は、朝食から夕食までの累計額が一日累計2,010円までの金額基準に収まるため、4食全てが軽減税率の対象となります。ただし、あらかじめ書面により累計額の計算の対象となる食事を明らかにしている場合は、その対象額で一日の累計額を計算するものとされています。

 

〇国税庁リーフレット

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0024003-094.pdf

令和6年5月2日 新紙幣に伴う券売機等の改修費について

令和673日より新しい紙幣が発行されます。

新紙幣の発行に伴うレジや券売機等のシステム改修等の費用は、その内容によって、「修繕費」又は「資本的支出」のいずれかとして処理することになります。

 

 通常、固定資産の維持管理や、原状を回復するための費用は修繕費として、一度に損金算入ができる一方、固定資産の価値を高め、又は耐久性を増すための費用は原則、資本的支出に該当し、資産として減価償却することになります。

 

 国税庁では、新たな制度の実施に伴い、固定資産に生じる費用の取扱いに関して、次の情報を公表しています。

「消費税のインボイス制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱いについて」、「消費税の軽減税率制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱いについて」、「消費税法改正に伴う会計ソフト修正費用の取扱いについて」。

 

 各情報では、新制度の実施に伴い、システム等の機能を維持するための修正であることが作業指図書等で明確である場合は、修繕費に該当し、新たな機能の追加、向上等に当たる部分の費用は資本的支出に該当するとしています。

 

 新紙幣に対応するための券売機等の改修費用等についても、上記の情報と同様の考え方になり、券売機等の機能を新たに追加、向上等させるものではなく、単に新紙幣の利用に対応するためのものは、券売機等の機能を維持する費用として、修繕費に該当することになります。

 

 なお、資本的支出に該当するものでも、その費用が20万円未満の場合や、資本的支出か修繕費かが明らかでない金額が60万円未満又は固定資産の前期末の取得価額のおおむね10%相当額以下であれば、修繕費として処理できます。

 

詳細については、以下国税庁HPをご参照ください。

・「消費税のインボイス制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱いについて」

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/shouhizei_invoice/index.htm 

・「消費税の軽減税率制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱いについて」

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/shouhizei.htm 

・「消費税法改正に伴う会計ソフト修正費用の取扱いについて」

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/0309/01.htm

令和6年4月2日 令和6年4月から「自動ダイレクト」が始まります。

自動ダイレクトとは、e-Taxの申告等データを送信する画面で「自動ダイレクトを利用する」旨の項目が表示されるので、チェックを入れて送信すると、申告等データの送信と併せてダイレクト納付の手続きができる機能です。自動ダイレクトを利用すると、口座引落日は各申告手続きの法定納期限となり、法定納期限に自動ダイレクトの手続きをした場合は、その翌取引日に口座引落しされます。


 自動ダイレクトは、令和6年4月1日以降、法定納期限が到来する申告手続き、法定納期限内に申告手続きをする場合、のすべての条件に該当する場合に利用できます。また、利用に当たっては、法定納期限当日に自動ダイレクトの手続きをした場合は、申告手続きをする日によって納税額の制限があります。

・令和6年4月1日から令和8年3月31日までは納税額1,000万円以下

・令和8年4月1日から令和10年3月31日までは納税額3,000万円以下

・令和10年4月1日以降は納税額1億円以下 


出典:国税庁「令和6年4月から自動ダイレクトが始まります!」

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/index.htm#jidoudirect 

○リーフレット

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nozei-shomei/pdf/0024001-051.pdf


令和6年3月1日 令和7年1月からの申告書等への控えの収受日付印の押なつについて

国税庁においては、納税者の利便性の向上等の観点から、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」を目指し、申告手続等のオンライン化、事務処理の電子化、押印の見直し等、国税に関する手続や業務の在り方の抜本的な見直し(税務行政のDX)を進めているところです。

 こうした中、e-Taxの利用率が向上しており、今後もe-Taxの利用拡大が更に見込まれることや、DXの取組の進捗も踏まえ、国税に関する手続等の見直しの一環として、令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印の押なつを行わないこととしました。

 対象となる「申告書等」とは、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他の書類のほか、納税者の方が、他の規定により、若しくは法律の規定によらずに国税庁、国税局、税務署に提出される全ての文書をいいます。

 令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印の押なつが行われませんので、書面申告等における申告書等の提出(送付)の際は、申告書等の正本(提出用)のみを提出(送付)することになります。必要に応じて、ご自身で控えの作成及び保有、提出年月日の記録・管理をすることになります。

 申告書等の控えの収受日付印以外で、申告書等の提出事実・提出年月日を確認する方法は、e-Taxを利用して申告書等を提出している場合は、メッセージボックスに格納された受信通知により確認することが可能です。

 書面で申告した場合であっても所得税の申告書等については、オンライン申請による「申告書等情報取得サービス」や「保有個人情報の開示請求」、「納税証明書の交付請求」により確認することも可能です。オンラインを利用しない場合であっても、従来どおり、税務署において「保有個人情報の開示請求」、「申告書等の閲覧サービス」、「納税証明書の交付請求」といった手段により確認することも可能です。

 令和7年1月以降、当分の間の対応として、窓口で交付する「リーフレット」に申告書等を収受した「日付」や「税務署名」を記載した上で、希望者にお渡しすることを検討しています。

 郵送等により申告書等を提出する際に、「返信用封筒」と「申告書等の控え」を同封された方に対しても、窓口での収受の場合と同様、日付・税務署名を記載したリーフレットを同封して返送することを検討しています。

 金融機関や行政機関等から収受日付印の押なつを求められる場合は、国税当局から、金融機関や補助金・助成金などを担当する行政機関などに対して、今般の見直しについては事前に説明を行っており、令和7年1月以降においても、収受日付印の押なつされた控えの提出を求める各種の機関を把握した場合、国税当局から個別に説明を行う予定です。


出典: 国税庁「令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて」

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/onatsu/index.htm 

国税庁「申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直しに関するQ&A」

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/onatsu/pdf/0023001-078.pdf 

令和6年2月5日 令和6年度税制改正大綱 交際費等の飲食費の基準が一万円以下に

令和6年4月1日から交際費等の損金不算入制度について、交際費等の範囲から除外される飲食費の金額基準が現行の1人当たり5,000円以下から1万円以下に引き上げられます。

 現行の「飲食費の5,000円基準」では、交際費等の範囲から除外される5,000円以下の飲食費について、一定の事項を記載した書類を保存することが必要とされています。令和6年4月1日以後の支出に係る「飲食費の1万円基準」についても、書類への記載事項や保存要件に変更はない予定です。必要な記載事項は、次の1から5の通りです。

1.飲食等のあった年月日

2.飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及び

その関係

3.飲食等に参加した者の数

4.飲食費の額並びに飲食店、料理店等の名称及びその所在地

5.その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項


 また、「接待飲食費の50%損金算入特例」と「中小企業の定額控除限度額(年800万円)の特例」の適用期限が令和9年3月末まで3年延長されます。

 接待飲食費の50%損金算入特例は、10,000円以下(現行:5,000円以下)の飲食と社内飲食を除いた飲食費の50%が損金算入でき、中小企業定額控除限度額の特例は、交際費のうち800万円までが損金算入できる特例です。

 

参考

国税庁 接待飲食費に関するFAQ

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/settai_faq/01.htm   

国税庁 No,5265 交際費等の範囲と損金算入の計算

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm 


令和6年1月8日 新NISAが始まりました

2024年となり、NISA制度が新体制へと変わりました。より有利な税制での資産運用が可能となります。新NISAの変更点3点と、これまでのNISAがどうなるのか、そして注意点について解説します。

1.NISAが一本化

従来はつみたてNISAと一般NISA2種類がありましたが、これらがつみたて投資枠と成長投資枠として併用可能になりました。

2.年間投資額の拡充

従来の年間投資枠は、つみたてNISA40万円、一般NISA120万円で非課税保有限度額がそれぞれ800万円と600万円でした。しかし、新NISAでは年間でつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円となり、非課税保有限度額は1,800万円(その内、成長投資枠は1,200万円)まで拡充されました。

3.非課税保有期間が無期限

従来はつみたてNISA20年、一般NISA5年を過ぎると課税口座に移動するか、売却するなどしなければなりませんでしたが、新NISAでは非課税保有期間の制限がなくなりました。


一方、今まで運用してきたつみたてNISAと一般NISAはどうなってしまうのか。こちらについては、2023年末をもって新規買い付けは不可能となりますが、非課税保有期間が継続され、その期間中に発生した利益については非課税で受取ることが可能です。

また、新NISAの投資枠と課税口座の間で損益通算ができない点にも留意が必要です。これは旧NISAでも同じで、例えば、課税口座を使って売買している株式に30万円の利益が生じて、NISA枠に20万円の損失が生じているからといって、課税対象額を損益通算して10万円にすることはできません。あくまでも課税口座に生じている30万円の利益に対して、20.315%の税率で課税されます。

 

詳細については金融庁ホームページをご確認ください。

https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/index.html