国税庁は1月13日、『NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)』を公表しました。
NFTとは、先月ご紹介した暗号資産とは異なり、唯一の性質を持つブロックチェーン上のトークンのことです。データの真贋性を担保する機能を持ち、デジタルアート等に活用されています。
このFAQは15問で構成され、問1~8で所得税・法人税関係、問9で相続税・贈与税関係、問10で源泉所得税関係、問11・12で消費税関係、問13~15で財産債務調書・国外財産調書関係が扱われています。
財産債務調書について、保有しているNFTが12月31日時点で暗号資産等の財産的価値を有する資産と交換できるものである場合、記載が必要とされました(問13)。NFTの種類別(アート、音楽、スポーツ、ゲーム等)、用途及び所在別に、「財産の区分」欄の中の「その他の資産(上記以外)」として記載することになります。なお、金額はその年の12月31日の時価又は見積価額によるものとされ、見積価額として適正と認められる売買実例価額等が認められています(問14)。
一方、国外財産調書についてNFTは記載の対象ではないとされています。NFTは財産を有する方の住所の所在によって、国外にあるか否かの判定をする財産であるからです。そのため、居住者が国外のマーケットプレイスでNFTを購入しても、国外財産調書ではなく財産債務調書への記載対象となります(問15)。
詳細につきましては、以下をご参照ください。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/0022012-080.pdf
国税庁は1月20日、「法人が保有する暗号資産に係る期末時価評価の取扱いについて(情報)」を公表しました。
国税庁が公表したFAQの内容は次のとおりです。
問1.暗号資産の期末時価評価
問2.期末時価評価の対象となる活発な市場が存在する暗号資産
問3.DEXにおいて取引される暗号資産
問4.ステーキングのためロックアップした暗号資産の期末時価評価
問5.貸付けをした暗号資産の期末時価評価
問6.借入れをした暗号資産の期末時価評価
基本的な考え方として、法人が事業年度終了の時において活発な市場が存在する暗号資産を保有する場合には、時価評価した金額を評価額とする必要があるとしました。(問1)
なお、期末時価評価の対象となる活発な市場が存在する暗号資産とは、継続的に売買価格等が公表され、かつ、その売買価格等が暗号資産の価格又は交換比率の決定に重要な影響を与えていること等とされています。(問2)
また、分散型取引所(DEX)での取引について、自動マーケットメイカーによって現時点における暗号資産の交換比率が明らかにされ、その交換比率に基づき、随時、交換の取引が行われている場合、交換比率が他の暗号資産取引所で公表される交換比率と著しく異なるといった特殊な事情が認められず、継続的に暗号資産の取引が成立しているのであれば、期末時価評価の対象であるとされました。(問3)
問4では、法人がステーキングによる報酬を得るため暗号資産の移転を凍結(ロックアップ)した場合、その保有する暗号資産は譲渡できない状態となっていますが、ロックアップ期間中にステーキング報酬を得ることができます。また、その保有する暗号資産の将来的な価格変動リスクをその法人が負うため、自己の計算において暗号資産を有するものと考えられることから、法人税法上の期末時価評価の対象となり、評価額と帳簿価格との差額を益金の又は損金の額に算入すること等が示されました。
なお、令和5年度税制改正の大綱(令和4年 12 月 23 日閣議決定)では、暗号資産の評価方法等について、次の見直しを行うこととされております。
① 法人が事業年度末において有する暗号資産のうち時価評価により評価損益を計上するものの範囲から、次の要件に該当する暗号資産を除外する。
イ 自己が発行した暗号資産でその発行の時から継続して保有しているものであること。
ロ その暗号資産の発行の時から継続して次のいずれかにより譲渡制限が行われている ものであること。
(イ) 他の者に移転することができないようにする技術的措置がとられていること。
(ロ) 一定の要件を満たす信託の信託財産としていること。
② 自己が発行した暗号資産について、その取得価額を発行に要した費用の額とする。
詳細につきましては、今後、法令等により明らかにされます。
「国税庁 法人が保有する暗号資産にかかる期末時価評価の取り扱いについて(情報)」https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/230120/index.htm
令和5年1月以降、各省庁と国税庁とのシステム連携により納税情報の自動添付が可能となりました。それにより、一部の手続で納税証明書の添付省略が可能となります。
納税証明書は、公共事業の入札や金融機関の融資等の場面で提出を求められることがあり、書面交付だけでなく、e-Taxからオンライン交付請求をすればPDFデータでの電子納税証明書の交付も受けられます。
対象となる手続は、以下の2点です。
① デジタル庁所管の全省庁統一資格
② 国土交通省所管の建築業許可関係及び経営事項審査関係の申請
①の全省庁統一資格とは、物品の製造・販売等に係る一般競争の入札参加資格のことで、全省庁の入札で有効となり、調達ポータルから申請を行う際に、申請者の納税情報について国税庁のシステムと連携が可能となります。
②の建築業許可申請等では、現行書面申請のみとされるところ、令和5年1月から受付を開始する電子申請システムで同様の連携を行い、これにより従来のe-Tax等を通じた納税証明書の取得が不要となります。
なお、申請者が上記①、②の各申請システム上で納税情報請求を行うと、国税庁システムとの連携により申請者の納税情報を自動で取得でき、各省庁のシステムに申請送信を行う際に添付されます。取得に当たっては、e-Taxの利用者識別番号が必要ですが、手数料は不要となります。
ただし、納税情報は納税証明書とは異なり、金融機関の窓口で納付した直後など、国税庁システムに納税情報が未登録の場合は、内容が反映されません。
詳細につきましては、以下をご参照下さい。
国税庁「納税情報の添付自動化に関するQ&A」
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nozei-shomei/pdf/nozei-joho_qanda.pdf
デジタル庁「オンライン化を実施する行政手続の一覧等」132頁、133頁