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消費税インボイス実務ポイント

令和5年10月1日から導入されるインボイス制度によって、必要を迫られるであろう実務対応のポイントをまとめた特集ページです。

1. 売手負担の振込手数料(令和4年8月16日時点)

 売掛金が入金されるときに一定金額、振込手数料のようなものが差し引かれて振り込まれてくることがあります。令和5年10月開始の消費税インボイス制度後は、これを課税仕入れとして仕入税額控除するのであれば、「インボイスが必要になるのか?」という質問が多く寄せられています。
 例えば、皆さんが50,000円請求した場合、慣行として振込手数料880円が差し引かれ、49,120円が口座に入金されることがあります。この場合、880円を売上値引とするか、支払手数料(または雑費)とするかしないと、880円が残ってしまうので、経理処理が先に進めません。
 以前の商習慣では振込手数料が引かれて当たり前ということが結構多かったですが、最近は、「振込手数料は御社負担でお支払いください」と書いてある請求書も見られるようになりました。また、支払通知書に、「手数料○○円引きます」と書いて差し引いた振込額が書いてあるところもあります。これらの場合には売手にとってのインボイス問題は起きませんが、そうでない場合には、80円の仕入税額控除が受けられません。
 「支払手数料」(または雑費)とするパターン1では、「振込手数料を立替払いしてもらった」と認識します。しかし、買手から立替払いの事実を証する何か書類を出してもらうことになりますので、現実的にはかなり難しいと思います。
 「売上値引」とするパターン2では、「返還インボイス」での対応になります。返還インボイスというのは売上げに係る対価の返還や値引きを行った場合に交付する規定になっています。継続的に毎月やり取りしているのであれば、翌月の書類に何か反映するような対応をすればいいわけです。
 さらに、パターン3は「仕入税額控除しない」ということも考えられます。費用対効果を考えたら、年間振込手数料のうちの消費税は僅かなので、それについて取引先に立替インボイスをよこせとか、あるいは値引したと書くとかということではなく、仕入税額控除しない、という選択もできます。
 現行制度では、支払対価の額が3万円未満の課税仕入れは、帳簿のみの保存で仕入税額控除を適用することができます。インボイス制度においても、少額の取引(ETC)や送金手数料について「インボイスの保存なしに仕入税額控除を認める」という改正が期待されていましたが、検討されていないようです。領収書を3万円未満に分割して、要件をクリアしようとする実務になってしまいかねないので、やむをえません。

 なお、この難題は、簡易課税の事業者さんの場合で、今まで「支払手数料」(または雑費)処理している場合には関係ありませんが、「売上値引」処理している場合には上記パターン2の対応が必要になりますのでご注意ください。

2. インボイスの登録番号は取引の都度、確認しなくてはいけないのか(令和4年9月1日時点)

 取引件数が膨大になる場合のインボイスに記載された登録番号の効率的な確認方法について気にされている方も多いと思います。
 登録番号を確認するのは2つの場面が想定されます。1つは「手元にあるインボイスを確認しなくてはならない場面(取引後の確認)」。もう1つは「取引前に相手が登録番号をもっているか否かの確認(取引前の確認)」です。

 まず取引後の確認についてですが、一度取引があった人について、頻繁に登録番号の確認をする必要はありません。例えば支払先の年間売上高が1,000万円を超える事業者である場合や、継続的にこの取引先に年間1,000万円以上支払っているという関係の場合は登録番号の確認はほとんど必要ないと思われます。
 また1回の取引金額の重みづけも重要です。110万円と110円のインボイスでは重みが異なってきますし、同じ110万円でも「継続的に取引している相手」なのか「単発で取引した相手」なのかでも違うことになります。確認の重要度に応じて、登録していない人が登録していると誤認されるような書類(偽インボイス)の交付をしてくるリスクに関しても重みづけをして、支払先が膨大にいる場合には、データ処理とかシステムの中で管理していくことが現実的かつ、重要になります。

 次に取引前の確認についてですが、手元に請求書が回ってきた段階ではなく、契約の段階で登録番号が取得されているかの確認をすることが重要です。またこの場合でも全ての取引先について確認しないといけないわけではなく、相手が個人事業者とか、中小より小さい零細企業、あるいは税理士が関与していない個人であればより確認の重要性は高いと言えます。すでに登録が始まっているので、仕入先に登録の確認をされている事業者の方もいらっしゃることでしょう。売り手の立場としては取引先に安心してもらうために「登録しました」という案内状を出すのも一つかと思います。

3. 少額取引の仕入税額控除の要件について(令和4年9月16日時点)

 現行法においては、課税仕入れ等に係る消費税額を控除するには、その事実を記載し、区分経理に対応した帳簿および事実を証する区分記載請求書等の両方を保存する必要があります。
 ただし、特例的な取り扱いとして、税込みの支払額が30,000円未満の場合には、請求書等の保存を要せず、法定事項が記載された帳簿の保存のみでよいこととされています。
 しかし、令和5年10月にインボイス制度が導入されることにより、現行の特例的な取り扱いは廃止され、下記の取引のみを対象として、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。

① 公共交通機関特例の対象として適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送

② 適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引(1に該当するものを除きます。)

③ 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物(古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入

④ 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物(質屋を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の取得

⑤ 宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入

⑥ 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品(購入者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入

⑦ 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等

⑧ 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

⑨ 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)

4. 従業員に支給する出張旅費等の帳簿記載について(令和4年10月3日時点)

 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)であれば、消費税インボイス実務ポイント(3)で説明したとおり適格請求書(インボイス)の保存でなく、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除を受けることができます。
 これは従業員のほとんどは事業者ではない、つまり適格請求書発行事業者ではないので仕入税額控除ができないのではないかということになりますが、法令で手当し帳簿保存のみで仕入税額控除を認めているからです。

 例えば、旅費精算システムの入力データやその入力元となる旅費精算書といったものに遡って出張旅費であることが確認できれば、仕訳帳や総勘定元帳に「出張旅費」と書いていなくても記載があるものとして取り扱われるのですか?という質問をいただきます。

 消費税法上では「帳簿」と一口に言いますが、これについては課税仕入れの相手方の氏名又は名称や取引の日付など、一定の事項が書かれているものであると法律上規定しています。そのため、総勘定元帳に限らず、いわゆる旅費精算システムのようなものが補助簿としての役割を有しているのであれば、仕訳帳や総勘定元帳に記載がなくても取り扱われます。
 ただし、自前のシステムということであれば「※」などの印をつけておいて「『※』は旅費の対象です」と、どこかにわかるようにしておくことが重要だと思います。

 旅費精算システムが補助簿としての機能を有していれば、必ずしも総勘定元帳や仕訳帳に旅費である旨の記載がなくとも、全体として帳簿の記載事項を満たしていると考えられます。
 ただし、総勘定元帳と旅費精算システム等そのものが連動していない場合やシステムとは連動しているが旅費以外の経費が混在しており区分できない場合であって、個別の取引等が旅費に該当するかどうか識別できない場合などには留意が必要です。

5. インボイス制度開始後における仕入税額控除の経過措置について(令和4年10月17日時点)

インボイス制度においては、インボイス発行事業者以外の者である免税事業者などからの課税仕入れについては、原則として、仕入税額控除ができなくなります。

ただし、制度開始直後より免税事業者からの仕入税額控除がゼロになるというわけではなく、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除ができる経過措置が設けられています。この経過措置を受けるに当たっては、区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等を保存し、帳簿にこの経過措置を受ける旨を記載していれば、下記の期間に応じて一定割合の仕入税額控除が認められます。

 (1)令和5101日から令和8930日まで ・・・ 仕入税額相当額の80%

 (2)令和8101日から令和11930日まで ・・・ 仕入税額相当額の50%

 そして、この経過措置を適用する場合に仕入税額とみなす金額の具体的な計算方法(上記(1)80%控除の場合)は次のとおりとなります。

➀仕入税額について「積上げ計算」を適用する場合

本経過措置の適用を受ける課税仕入れの都度、その課税仕入れに係る支払対価の額に

110分の7.8(軽減税率の対象となる場合は108分の6.24)を乗じて算出した金額に100分の80を乗じて算出します(その金額に1円未満の端数が発生したときは、その端数を切り捨て又は四捨五入します。)。

この算出する際の「課税仕入れの都度」については、課税仕入れを行ったごとに算出する場合のほか、受領した請求書や納品書を単位として算出する場合が考えられますが、継続的に買手の支払基準といった合理的な基準による単位により算出する場合も認められるようです。

 なお、期末に対象となった仕入税額を合計した金額で計算を行うことはできないようですが、本経過措置の適用を受ける課税仕入れを区分して管理し、課税期間の中途や期末において、当該区分した課税仕入れごとに上記計算を行うこととしても差し支えないようです。

➁仕入税額について「割戻し計算」を適用する場合

 課税期間中に行った本経過措置の適用を受ける課税仕入れに係る支払対価の額の合計額に110分の7.8(軽減税率の対象となる場合は108分の6.24)を乗じて算出した金額に100分の80を乗じて算出します。

 制度開始後の実務や運用面を考えた場合、問題となるのはインボイス発行事業者以外の者である免税事業者などから課税仕入れを行ったときに、この本経過措置をどうやって会計システム上で把握し、集計していくかという点ではないかと考えます。特に仕入先等が多い場合は非常に悩ましいと思います。まずは自社で利用されている会計システムについて、軽微な改修で済むのか、それとも大規模な改修を必要とするのかを十分検討していただき制度開始までに間に合うよう余裕を持って準備していただければと思います。

6. 立替金取引と仕入税額控除について(令和4年11月1日時点)

 インボイス制度においては、事業者が仕入税額控除の適用を受けるには一定の必要事項が記載されたインボイスの保存が必要になります。

 課税仕入について、立替払が行われる場合、課税資産の譲渡等を行う者が立替払を行う者宛てに交付された適格請求書を、立替えを受ける者(課税仕入れを行う者)が立替払を行う者からそのまま受領したとしても、これをもって課税資産の譲渡等を行う者から立替を受ける者(課税仕入を行う者)に交付された適格請求書とすることができません。

 この場合、立替えを受ける者(課税仕入れを行う者)は、立替払を行う者から立替金精算書等の交付を受けることにより、その課税資産の譲渡等が立替えを受ける者(課税仕入れを行う者)のものであることが明らかにされている場合には、その適格請求書及び立替金精算書等の書類の保存をもって、課税仕入れに係る請求書等の保存要件を満たすこととなります(立替払を行う者が適格請求書発行事業者かどうかは問いません)。

 なお、立替払いの内容が、請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由により、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる課税仕入に該当することが確認できた場合、立替えを受ける者(課税仕入れを行う者)は、一定の事項を記載した帳簿を保存することにより仕入税額控除を行うことができます。この場合、適格請求書及び立替金精算書等の保存は不要となります。

 また、立替えを受ける者(課税仕入を行う者)が複数の事業者となる場合、原則として、立替払を行う者は課税資産の譲渡等を行う者から受領した適格請求書をコピーし、経費の支払先である課税資産の譲渡等を行う者からの課税仕入れがそれぞれの立替えを受ける者(課税仕入れを行う者)のものであることを明らかにするために、立替払を行う者が作成した立替金精算書等を添えるなどし、それぞれの立替えを受ける者(課税仕入れを行う者)に交付する必要があります。

 しかしながら、立替えを受ける者(課税仕入れを行う者)に交付する適格請求書のコピーが大量になるなどの事情により、立替払を行う者がコピーを交付することが困難なときは、立替払を行う者が交付を受けた適格請求書を保存し、立替えを受ける者(課税仕入れを行う者)に立替金精算書等を交付し、保存することで、仕入税額控除を行うことができます。

 ただし、この場合、立替払を行う者は、その立替金が仕入税額控除可能なものか(すなわち、適格請求書発行事業者からの仕入れか、適格請求書発行事業者以外の者からの仕入れか)を明らかにし、また、適用税率ごとに区分するなど、立替えを受ける者(課税仕入を行う者)が仕入税額控除を受けるに当たっての必要な事項を立替金精算書等に記載しなければなりません。

 なお、仕入税額控除の要件として保存が必要な帳簿には、課税仕入れの相手方の氏名又は名称の記載が必要となりますし、適格請求書のコピーを交付しないため、その課税仕入れが適格請求書発行事業者から受けたものか否かを確認できなくなるため、立替払を行う者と立替えを受ける者(課税仕入を行う者)の間で、課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号を確認できるようにしておく必要があります。

 ただし、これらの事項について、別途、書面等で通知する場合のほか、継続的な取引に係る契約書等で、別途明らかにされているなどの場合には、立替金精算書等において明らかにしていなくても差し支えありません。

立替払のイメージ図

(出典:国税庁 「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」 問64)

7. 消費税インボイス制度下における口座振替等による支払いの取扱い(令和4年11月16日時点)

家賃の支払いなどの継続的な取引について、賃貸借契約書に基づき代金決済が行われ、取引の都度、請求書や領収書が交付されない取引についても、原則として適格請求書の保存が必要とされています。

この場合については、次のような対応が考えられます。

<一定期間分の取引の適格請求書をまとめて交付を受ける場合>

 インボイスは、一定期間の取引をまとめて交付することもできますので、相手方(貸主)から一定期間の賃貸料についてのインボイスの交付を受け、それを保存することによる対応も可能です。

 <契約書に適格請求書の必要事項の一部を記載し、事実関係書類を併せて保存する場合>

適格請求書として必要な記載事項は下記のとおりですが、この記載事項は一つの書類だけで全てが記載されている必要はないとされています。

1)適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号

2)取引年月日

3)取引の内容

4)税率ごとの合計金額及び適用税率

5)税率ごとに区分した消費税額

6)書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

  複数の書類で記載事項を満たせばそれらの書類全体でインボイスの記載事項を満たすことになりますので、契約書にインボイスとして必要な記載事項の一部が記載されており、実際に取引を行った事実を客観的に示す書類とともに保存しておけば、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。

家賃支払の場合には、適格請求書の記載事項の一部((2)以外の事項)が記載された契約書とともに通帳(取引年月日の事実を示すもの)を併せて保存することで、適格請求書の保存要件を満たすこととなります。

 また、口座振込により家賃を支払う場合についても、適格請求書の記載事項の一部が記載された契約書とともに、銀行が発行した振込金受取書を保存することにより、適格請求書の保存要件を満たすこととなります。

 なお、令和5930日以前からの契約について、契約書に登録番号等の適格請求書として必要な事項の記載が不足していた場合でも、別途、登録番号等の記載が不足していた事項の通知を受け、契約書とともに保存していれば差し支えないとされています。

  取引の都度、請求書や領収書が交付されない取引について、ご注意いただきたいことは、取引の中途で取引の相手方が適格請求書発行事業者でなくなる場合です。

相手方から適格請求書発行事業者でなくなる旨の連絡がない場合には、買い手側はその事実を把握することは困難となります。仮に、相手方が適格請求書発行事業者でなくなった場合でその旨の連絡がないまま、代金の支払いを行っていた場合、その支払いについては適格請求書発行事業者以外の者に対する支払いであるため、原則として、仕入税額控除を行うことはできません。

そのため、相手方が適格請求書発行事業者か否かについては、「適格請求書発行事業者公表サイト」で確認することができます。

8. 買い手が作成した仕入明細書等による仕入税額控除(令和4年12月1日時点)

令和5101日以後に仕入税額控除を受ける場合には、適格請求書等の保存が必要となります。適格請求書等には、売り手が作成する請求書等だけでなく、買い手が作成する仕入明細書等も含まれるため、この仕入明細書等を保存することによって仕入税額控除の適用を受けることができます。

  現行制度においても、買い手が作成した一定事項の記載のある仕入明細書等の書類で、相手方の確認を受けたものについては、仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等に該当します。

  インボイス制度導入後においても仕入明細書等による仕入税額控除は可能ですが、課税仕入れの相手方において課税資産の譲渡等に該当するものであり、次の事項が記載されている必要があります。

1)仕入明細書の作成者の氏名又は名称

2)課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号

3)課税仕入れを行った年月日

4)課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)

5)税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額及び適用税率

6)税率ごとに区分した消費税額等

したがってインボイス制度下では、適格請求書発行事業者以外(免税事業者)からの仕入れについては、仕入明細書等に課税仕入れの相手方の登録番号が記載できず、適格請求書の要件を満たさないこととなるため注意が必要です。

  また仕入明細書等については、相手方の確認を受けたものに限られますが、この確認を受ける方法としては次のようなものがあります。

     仕入明細書等の記載内容を、通信回線等を通じて相手方の端末機に出力し、確認の通信を受けた上で、自己の端末機から出力したもの

     仕入明細書等に記載すべき事項に係る電磁的記録につきインターネットや電子メールなどを通じて課税仕入れの相手方へ提供し、相手方から確認の通知等を受けたもの

     仕入明細書等の写しを相手方に交付し、又は仕入明細書等の記載内容に係る電磁的記録を相手方に提供した後、一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおり確認があったものとする基本契約等を締結した場合におけるその一定期間を経たもの

 ③に記載があるように明示的に確認した旨の連絡を受ける必要はないため、仕入明細書等に「送付後一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおり確認があったものとする」旨の文言を記載したり、別途通知文書等を添付したりして相手方に送付して了承を得れば、相手方の確認を受けたものとなります。

9. 適格請求書の交付義務が免除される自動販売機特例とは?(令和4年12月19日時点)

適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、適格請求書を交付することが困難なため、適格請求書の交付義務が免除される取引の1つに、「3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等」いわゆる「自動販売機特例」があります。この自動販売機特例に該当するのは、具体的には以下のような取引です。

・自動販売機による飲食料品の販売

・コインロッカーやコインランドリー等によるサービス

・金融機関のATMによる入出金、振込サービス(手数料を対価とする機械装置のみにより代金の受領と資産の譲渡等が完結するもの)

 これらの取引は、代金の受領と資産の譲渡等が機械装置によって自動で行われ、その機械装置のみで、代金の受領と資産の譲渡等が完結する取引です。

 その一方、以下のような取引は自動販売機特例の対象外となります。

・小売店内に設置されたセルフレジを通じた販売

 →単に機械で精算が行われているだけであるため

・コインパーキングや自動券売機

 →代金の受領と券類の発行はその機械装置で行われるが、資産の譲渡等は別途行われるため

・ネットバンキング

→機械装置で資産の譲渡等が行われないため

自動販売機特例に該当する取引については、一定の事項(自動販売機による仕入である旨等)を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除を受けることができますが、コインランドリーとコインパーキングのように、一見同じような取引と考えがちな取引であっても特例の対象外となる場合があるので注意が必要です。

10. 経過措置の適用により免税事業者がインボイス登録をする場合(令和5年2月2日時点)

 インボイス制度においては、仕入税額控除の要件として、原則、インボイス発行事業者から交付を受けたインボイスの保存が必要となります。

 インボイスを交付できるのは、インボイス発行事業者に限られ、インボイス発行事業者となるためには、登録申請手続きを行い、登録を受ける必要があります。

 原則として、免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、消費税課税事業者選択届出書(以下「選択届出書」という)を提出しなければならないですが、経過措置の適用によりインボイスの登録申請書の提出のみで登録手続きが完了するため選択届出書の提出が不要となります。通常は選択届出書を提出して課税事業者となった場合には、2年間は免税事業者となることができません(いわゆる2年縛り)。また、選択届出書を提出して課税事業者となった課税期間から2年以内に調整対象固定資産(税抜100万円以上の棚卸以外の資産)を取得した場合には、その取得日の属する課税期間から3年間は免税事業者となることができません(いわゆる3年縛り)。

 しかし、経過措置の適用をした場合には適格請求書発行事業者の登録日がいつかにより2年縛り及び3年縛りの適用対象が変わります。

 ① 経過措置を適用して令和5年10月1日の属する課税期間に登録する場合

   2年縛り及び3年縛りの対象とならない。

 ② 経過措置を適用して令和5年10月1日の属する課税期間以外に登録する場合

   2年縛りのみ対象となる。

 また、経過措置の適用により令和5年10月1日以後に登録申請書を提出し登録を受けようとする免税事業者は、登録希望日から1月前の日までに提出する必要があります。(令和5年税制改正大綱により1月前の日→15日前の日に変更される予定です。)

 取消しについては、翌課税期間の初日から登録を取り消そうとする場合には、当該翌課税期間の初日から30日前の日までに届出書を提出する必要があります。(令和5年度税制改正大綱により30日前の日→15日前の日に変更される予定です。)

経過措置の適用により免税事業者がインボイス登録をする場合
経過措置の適用により免税事業者がインボイス登録をする場合

 そのため、いつ登録するかにより免税事業者に戻ることができるタイミングが変わるため免税事業者に戻る可能性も考慮して登録を検討することが必要です。

11. インボイス制度の負担軽減措置~一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)~(令和5年2月16日時点)

令和5年度税制改正大綱でインボイス制度の負担軽減措置(案)が発表されました。その中から一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)について紹介します。

 ◇概要

基準期間の課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5千万円以下である事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に行う課税仕入れについて、支払対価の額が1万円未満である場合には、インボイスの保存がなくても一定の事項が記載された帳簿のみの保存による仕入税額控除が認められます。

財務省の試算によると、全事業者の90.7%が対象とされます。

 ◇注意点

1. 適用対象者判定の特定期間について

特定期間における5千万円の判定に当たり、課税売上高による判定に代えて給与支払額の合計額の判定によることはできません。

 2. 適用できる期間と課税期間の関係について

令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間が適用対象期間となります。

そのため、たとえ課税期間の途中であっても令和11年10月1日以後に行う課税仕入れについては少額特例の適用はありません。

 3. 支払対価1万円未満について

・「税込」1万円未満の課税仕入れが適用対象です。

・一回の取引の合計額が1万円未満であるかどうかにより判定することになります。

(1商品ごとの金額により判定するのではありません。)例えば9千円の商品と8千円の商品を同時購入した場合(合計1万7千円)は少額特例の対象とはなりません。

・役務提供である場合には、通常、約した役務の取引金額によることになります。例えば月額20万円(稼働日21日)で個人事業者に外注を行っている場合、稼働日で按分すると1万円未満となりますが、月単位での取引(20万円の取引)と考えられ、少額特例の対象となりません。


12. 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)について(令和5年3月1日時点)

令和5年度税制改正では、免税事業者が課税事業者を選択した場合の負担軽減を図るため、納税額を売上税額の2割に軽減する激変緩和措置(2割特例)を3年間講ずるとされています。

120日に公表された「インボイス制度の負担軽減措置(案)のよくある質問とその回答」<FAQ>では、2割特例の適用対象者は、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった者であり、具体的には、

・免税事業者がインボイス発行事業者の登録を受け、登録日から課税事業者となる者

・免税事業者が課税事業者選択届出書を提出した上で登録を受けてインボイス発行事業者となる者

が対象となると解説されています<FAQ1参照> 

また、簡易課税制度選択届出書との関連についても解説されており、「免税事業者が、登録申請書とともに簡易課税選択届出書を提出した場合、2割特例は適用できないのか」という問に対して、「2割特例は、本則課税と簡易課税のいずれを選択している場合でも、適用が可能です。そのため、簡易課税制度選択届出書を提出していたとしても、申告の際に2割特例を選択することは可能です。簡易課税制度選択届出書を取り下げる必要はありません」と解説されています<FAQ6参照>

 <ポイント>

     事前の届出書は不要

     消費税申告時に、簡易課税・本則課税とも選択が可能

     消費税確定申告書に、その旨を付記する必要

参照

インボイス制度の負担軽減措置(案)のよくある質問とその回答

財務省(令和5120日時点)

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/qa_futankeigen.pdf 


13. インボイス制度開始前後における短期前払費用の取扱いについて(令和5年3月17日時点)

 事業を継続して行く上で実務的によく発生する機器の保守料、建物の賃借料などについて、事業年度末までに年払いを行った場合には「短期前払費用の取扱い」として当該支払額の全額を当該支払った日の属する事業年度の損金(個人事業の場合は「必要経費」以下同じ。)の額に算入することができます。併せて、上記支払った費用に係る消費税額についても、当該支払った日の属する課税期間で全額仕入税額控除を受けることができます。

[法人税法基本通達2-2-14、所得税法基本通達37-30の2、消費税法基本通達11-3-8]


 インボイス制度開始前におけるそれらの費用について、当該制度開始日である令和5年10月1日をまたぐ年払いを行い全額費用計上する場合、現行の区分記載請求書のみで全額損金となり、消費税も全額仕入税額控除を受けることができます。しかし、年払いを行い、全額を一旦前払金として処理し、その後毎月費用へ振り替えていく場合、当該制度開始日以後の振替分については、適格請求書(インボイス)が必要となるためご留意下さい。

[具体例]:コピー機の保守料 11万円(うち消費税1万円)/月について年額132万円(税込)

      を令和5年4月1日に支払った。

      対象 : 法人 、 事業年度・課税期間 : 4月1日~3月31日。

国税庁 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A

    問88 (短期前払費用) 参照https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf


14. 免税事業者からの課税仕入れに係る経過措置を適用する場合の税額計算について(令和5年4月3日時点)

適格請求書等保存方式の下では、原則、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについては、仕入税額控除を行うことはできませんが、制度開始後6年間は、一定の要件の下、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています(適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引きP41 参照)。


 本経過措置を適用する場合に仕入税額とみなす金額の具体的な計算方法は、次のとおりです。

 1 仕入税額について「積上げ計算」を適用している場合

本経過措置の適用を受ける場合においても「積上げ計算」により計算する必要があります。

本経過措置の適用を受ける課税仕入れの都度、その課税仕入れに係る支払対価の額に 110分の 7.8(軽減税率の対象となる場合は 108 分の 6.24)を乗じて算出した金額に100分の80(注)を乗じて算出します(その金額に1円未満の端数が生じたときは、その端数を切捨て又は四捨五入します。)。

なお、本経過措置の適用を受ける課税仕入れを区分して管理し、課税期間の中途や期末において、当該区分した課税仕入れごとに上記の計算を行うこととしても差し支えありません。

 

2 仕入税額について「割戻し計算」を適用している場合

本経過措置の適用を受ける場合においても「割戻し計算」により計算する必要があります。

課税期間中に行った本経過措置の適用を受ける課税仕入れに係る支払対価の額の合計金額に110 分の 7.8(軽減税率の対象となる場合は 108 分の 6.24)を乗じて算出した金額に 100分の 80(注)を乗じて算出します。

 

(注)経過措置を適用できる期間に応じた割合は、以下のとおりとなります。

令和5年 10 月1日から令和8年9月 30 日まで仕入税額相当額の 80

令和8年 10 月1日から令和 11 年9月 30 日まで仕入税額相当額の 50

 (参考)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0022009-090.pdf 

15. リース取引に係るインボイスへの対応(令和5年4月17日時点)

リースなどの継続的な取引については、契約書に基づき代金決済が行われ、支払いの都度請求書や領収書が発行されていないと思います。インボイス制度では、リース料について仕入税額控除を受けるためには、リース会社から交付されたインボイスの保存が必要です。

 

リース取引のインボイス対応について、公益社団法人リース事業協会が、電子パンフレット「リース取引のインボイス」を、同協会のサイトに公開しております。

 

インボイス制度導入前に開始したリースに係る消費税の仕入税額控除については、リースの種類ごとに対応が異なります。

 

<令和5930日までに開始したリース>

・ファイナンス・リース(売買取引)

 101日以降に支払うリース料について、インボイス不要(インボイスの保存がなくても仕入税額控除可)

・オペレーティング・リース(賃貸借取引)

 101日以降に支払うリース料について、インボイス必要(仕入税額控除するためにはインボイスの保存が必要)

 

 なお、令和5101日以後に開始するリース取引については、ファイナンス・リース、オペレーティング・リースともにインボイスの保存が必要となります。

 

<参考>

公益社団法人リース事業協会 電子パンフレット「リース取引のインボイス(20233月)」

https://www.leasing.or.jp/studies/docs/invoice202303.pdf 

16. クレジットカード利用と仕入税額控除(令和5年5月1日時点)

クレジットカードで決済をした場合、カード会社から一定の期間ごとに取引明細を記録した「利用明細書」が発行されます。この利用明細書は大切に保存しているものの、クレジットカードを使った際に、「利用店舗から受け取る利用明細」をうっかり紛失してしまっていることがあります。

インボイス制度開始後は、「利用店舗から受け取る利用明細」を紛失してしまうと

原則、仕入税額控除ができなくなりますので注意が必要です。

現行制度下においても、カード会社の発行する利用明細は請求書等には当たらないためこれをもって消費税の仕入税額控除はできませんが、(国税庁タックスアンサー「カード会社からの請求明細書」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/18/05.htm )3万円未満の取引きについては、帳簿保存により控除を認めるという規定により、多くの取引きが救われていました。この規定は廃止されることとなったため、今後はインボイスとなる「利用明細」無しでは原則仕入税額控除ができなくなったのです。

 令和5年度税制改正により、令和5年101日から令和11年9月30日までの間、基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5千万円以下である事業者が国内において行う課税仕入れについて、その課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)が1万円未満である場合、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除が認められるという特例が設けられました。(国税庁インボイスQ&A108

この要件にあてはまらない事業者は、今後クレジット払いをした際に受け取る利用明細を大切に保存しておく必要があります。要件に当てはまる事業者は、1万円未満の取引であれば、インボイスとなる利用明細が無くても、当面仕入税額控除ができます。しかし、特例には期限がありますので、今のうちから利用明細を保存することを習慣にしておいた方がよいでしょう。また、利用明細を受け取り保存していたとしても、インボイスの要件を満たしているかは不明なので、受け取った書類が、インボイスの要件を満たすか否かについて都度確認が必要です。

ETCクレジットカードでの利用料についても、ETC利用照会サービスサイトにアクセスし、「利用証明書」を取得して、インボイスとすることになるようです。

インボイス制度開始まで半年を切りました。今回のクレジットカード利用の場合のほかにも、実務で注意しなければならない事は多くありそうです。制度開始までに、どのような実務になるのかを確認しておく必要があります。

なお、各カード会社のホームページでは、カード会社が発行する明細書に記載されている取引の内、インボイスの対象になる取引は直接カード会社との取引である会費や再発行手数料のみであること、加盟店でのショッピングの利用分はカード会社のインボイス制度の対象となる課税取引にはあたらないことなどを掲載し、注意を促しています。

17. 売手と買手の計上時期が異なる場合のインボイスの適用関係(令和5年5月16日時点)

インボイス制度下では、適格請求書発行事業者である売手は、課税資産の譲渡等を行った場合、買手の求めに応じてインボイスを交付する義務があります。また買手は仕入税額控除の適用を受けるためには、原則としてインボイスの保存が必要となります。

  インボイスが始まる令和510月1日前後の取引において、同じ取引であっても売手における売上げの計上時期と買手における仕入れの計上時期が異なる場合があります。

 例えば、機械装置の販売において、売手が出荷基準により令和59月に課税売上げを計上し、買手が検収基準により令和510月に課税仕入れを計上するといったことも生じます。この場合、売手においてはインボイス制度開始前に行った取引であることから、買手から取引についてインボイスの交付を求められたとしても、インボイスの交付義務はありません。

 このため、買手においては、原則として売手における課税売上げの計上時期が令和5101日以後のものとなる取引から、仕入税額控除の適用を受けるためにインボイスを保存する必要があることになります。したがって売手における課税売上げの計上時期が令和59月となる取引については、買手は区分記載請求書により仕入税額控除の適用を受けることになります。なおインボイス制度開始前である令和5101日前であっても、売手は登録番号を記載した区分記載請求書を交付することとしても問題ありません。

その他、未成工事支出金及び建設仮勘定に係る課税仕入れの計上時期について、建設工事等の目的物の引渡し又は完成の日の属する課税期間の課税仕入れとすることができますが、引渡しの日又は完成の日が令和5101日以後であったとしても、課税仕入れに含まれる令和5101日前の取引については、区分記載請求書により仕入税額控除の適用を受けることができます。

18. インボイス制度の実施に伴うシステム改修費用の取扱いについて(令和5年6月5日時点)

適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者は、令和5101日から開始されるインボイス制度に対応するため、自社の固定資産であるPOSレジシステム、商品の受発注システム及び経理システムのプログラムにつき修正を外部に委託することがあります。

そのような場合に、各システムのプログラム修正が、現行の請求書等のフォーマットや、現行の税額計算の方法につき、インボイス制度の実施に伴い、システムに従来備わっていた機能の効用を維持するために必要な修正を行うものであることが作業指図書等から明確である場合には、新たな機能の追加、機能の向上等に該当せず、これらの修正に要する費用は修繕費として取り扱われることになります。

 修繕費に該当する例としては、以下のものが挙げられます。

1.現行の請求書等のフォーマットに、登録番号や軽減税率の対象品目である場合はその旨、税率ごとに合計した対価の額(税抜き又は税込み)、適用税率及び消費税額等を追加

2.積上げ計算方式による仕入税額の計算に対応するため、集計方法などの税額計算の要素につきインボイス制度に対応する仕様変更等

また、プログラムの修正が、ソフトウェアの機能の追加、機能の向上等に該当する場合は、その修正に要する費用は資本的支出に該当します。

資本的支出に該当する例としては、以下のものが挙げられます。

1.受発注システム上で受領し、又は取り込んだ請求書に記載された取引先の登録番号と国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトに公表されている情報を自動で照合し、確認する機能を新たに搭載するもの

2.これまでシステムで作成した請求書等を紙媒体で出力し交付していたものを、電子交付まで自動で行えるよう仕様変更するもの

ただし、資本的支出であっても、修正に要した費用の額が20万円に満たない場合や、

当該費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合に、その金額が次のいずれかに該当するときは、修繕費として取り扱って差し支えありません。

1.その金額が60万円に満たない場合

2.その金額が、修正に係るソフトウェアの前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合

19. 鉄道料金を仕入税額控除する際のまとめ(令和5年6月16日時点)

 鉄道の利用者が鉄道料金を仕入税額控除するに当たっては、領収書等のインボイス保存
(券面金額にかかわらず、自動券売機・指定席券売機・有人窓口では利用者の求めに応じて簡易インボイスの要件を満たす領収書が交付されます。)が必要となります。
 この他インボイスの保存がなくても、帳簿に一定の記載事項を記し保存することで仕入税額控除が認められる特例があります。

特例の内容と注意点は次のとおりとなります。
① 公共交通機関特例…適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
② 出張旅費等特例…従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)
③ 入場券等回収特例…適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除く)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引(公共交通機関特例の対象を除く)

JR新幹線等の乗車券・特急券に係る帳簿のみ保存の特例の適用可否

19. 鉄道料金を仕入税額控除する際のまとめ

 出張旅費等特例は、法人クレジットカード利用や会社が直接乗車券等を購入するなど従業員との間で金銭による精算がされない場合、特例適用は認められず仕入税額控除ができません。
 また入場券等回収特例については簡易インボイスの記載事項が記された入場券等が回収される場合に限り入場券等回収特例が適用できますが、新幹線等については乗車券・特急券に簡易インボイスの記載事項が記載されないため適用不可となっていることに注意が必要です。

20. 免税事業者からの課税仕入れ(令和5年7月3日時点)

 インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れについてはR4.10.15のメルマガ消費税インボイス実務ポイント「 5.インボイス制度開始後における仕入税額控除の経過措置について」でお伝えしたとおり、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの間に行われた課税仕入れについては、仕入税額相当額の80%が消費税額とみなされ、同額が仮払消費税等の額として扱われます。

 課税仕入れに係る消費税額とみなされなかった金額については、消費税額等でないため、税抜経理を採用する場合であっても、その金額を取引の対価の額に含めて法人税の課税所得金額の計算をしなければなりません。

 この点について、消費税の95%ルールにおける「控除対象外消費税額等」と混同し、損金の額に算入できると誤解している方が多いようです。
 控除対象外消費税額等とは、仮払消費税等の額のうち仕入税額控除の対象にならなかった金額を指します。インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れのうち、仕入税額控除の対象外となる部分は、そもそも消費税額等ではないため、控除対象外消費税額等に該当しません。そのため資産の対価の額又は費用として処理する必要がありますので注意が必要です。

課税仕入の内容原則
減価償却資産を取得取得価額に算入
棚卸資産を取得取得価額に算入
経費等を支出費用処理

※ 令和5年6月12日 税務通信 No.3756号 一部参照

21. インボイスの交付義務について(令和5年7月19日時点)

 適格請求書発行事業者(インボイス登録事業者)は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合には、相手方(課税事業者に限ります)からの求めに応じて適格請求書(以下「インボイス」という)の交付義務が課されています。ただし、次の(1)~(5)に該当する取引は、適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、インボイスを交付することが困難なため、インボイスの交付義務が免除されます。(新消法57の4➀)

(1)3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送
      (以下「公共交通機関特例」という。[注1])
(2)出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売
      (出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。以下「卸売市場特例」という。)
(3)生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等(以下「農協等」という。)に委託して行う農林水産物の販売
  (無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。以下「農協特例」という。)
(4)3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等(以下「自動販売機特例」という。[注2])
(5)郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります)

 そのため、上記(1)~(5)に該当しない課税資産の譲渡等に該当する取引[注3]はインボイスの交付が必要となります。
 補足事項となりますが、上記(2)の卸売市場特例は1.農林水産大臣の認定を受けた中央卸売市場、2.都道府県知事の認定を受けた地方卸売市場、3. 1.及び2.に準ずる卸売市場として農林水産大臣が財務大臣と協議して定める基準を満たす卸売市場のうち農林水産大臣の確認を受けた卸売市場が対象とされています。[注4]
 また、上記(3)の農協特例は、農協等の組合員である生産者の農産物等を、農協等が無条件委託方式による販売をし、その代金を共同計算方式により精算する場合が対象とされています。[注5] 但し、生産者が農協等ではなく例えばJAの直売所(ファーマーズマーケットなど)へ委託し、当該直売所が課税事業者へ販売する場合や生産者が飲食店などの課税事業者へ直接販売する場合はインボイスの交付が必要となります。

農協特例の場合

【農協特例の場合】  出典:JA稲敷より

直売所を通して委託販売する場合

【直売所を通して委託販売する場合】  出典:JA稲敷より

[注1] メルマガR5.6.15『19.鉄道料金を仕入税額控除する際のまとめ』参照。

[注2] メルマガR4.12.15『9.適格請求書の交付義務が免除される自動販売機特例とは?』参照。

[注3] 少額(税込1万円未満)の売上げに係る対価返還等に係るインボイスは交付義務が免除されます。

[注4] 農林水産省 適格請求書保存方式(インボイス制度)における卸売市場特例の対象となる卸売市場について
   https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sijyo/info/221001.html

[注5] JA インボイス制度
   http://www.ib-ja.or.jp/ja/inashiki/invoice.pdf

22. 媒介者交付特例の適用(令和5年8月1日時点)

 適格請求書発行事業者には、課税資産の譲渡等を行った場合、課税事業者からの求めに応じて適格請求書の交付義務が課されています(新消法57の4①)。 委託販売の場合、購入者に対して課税資産の譲渡等を行っているのは、委託者ですから、本来、委託者が購入者に対して適格請求書を交付しなければなりません。 このような場合、受託者が委託者を代理して、委託者の氏名又は名称及び登録番号を記載した、委託者の適格請求書を、相手方に交付することも認められます(代理交付)。 また、次の①及び②の要件を満たすことにより、媒介又は取次ぎを行う者である受託者が、委託者の課税資産の譲渡等について、自己の氏名又は名称及び登録番号を記載した適格請求書 又は適格請求書に係る電磁的記録を、委託者に代わって、購入者に交付し、又は提供すること ができます(以下「媒介者交付特例」といいます。)(新消令70の12①)。 ① 委託者及び受託者が適格請求書発行事業者であること ② 委託者が受託者に、自己が適格請求書発行事業者の登録を受けている旨を取引前までに通知していること(通知の方法としては、個々の取引の都度、事前に登録番号を書面等により 通知する方法のほか、例えば、基本契約等により委託者の登録番号を記載する方法などがあります(インボイス通達3-7)。) この媒介者交付特例は、物の販売などを委託し、受託者が買手に商品を販売しているような 取引だけではなく、請求書の発行事務や集金事務といった商品の販売等に付随する行為のみを委託しているような場合も対象となります。

 ところで、事業者が市町村等に支払う水道料金、下水道料金について消費税の仕入税額控除の適用を受ける場合、他の事業経費と同様に適格請求書の交付を受けて、保存する必要があります。そんななか、多くの市町村では、水道の利用料金を知らせる「検針票」を適格請求書として交付する事例が増えてきています。また、市町村によっては「検針票」のほか、コンビニ等での支払いに係る「納入通知書」、口座振替に係る「口座振替済通知書」なども適格請求書として交付する市町村等も報告されており、いずれかの書類を保管すれば法律の要件を満たすとしています。

 その際、水道事業と下水道事業にそれぞれ適格請求書発行事業者登録番号がありますが、この「媒介者交付特例」の適用により、下水道使用料の分も含め適格請求書には水道事業の登録番号のみが記載される市町村等もあるそうです。

 公共料金等に関する適格請求書交付等の対応については、自治体や企業等により取り扱いが微妙に異なるため、早めに書式等を確認し、電子書類であれば、今後展開される電子帳簿保存法の要件を満たす処理が行えるのか確認する必要があります。

23. 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)(令和5年8月17日時点)

 免税事業者が、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、適格請求書発行事業者となる場合(注)には、納付税額の計算において仕入税額控除の金額を、特別控除税額(課税標準である金額の合計額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額の100分の80に相当する金額)とすることができる経過措置(以下「2割特例」といいます。)が設けられています。

 2割特例は、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった場合が対象です。簡易課税制度のように事前の届出や継続して適用しなければならないという制限はなく、申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記することにより、適用を受けることができます。
 2割特例の適用に当たっては、消費税の申告を行う都度、適用を受けるかどうかの選択が可能ですが、申告する課税期間が2割特例の適用対象となる課税期間である必要があります。2割特例は、インボイス発行事業者の登録がなかったとしたならば、消費税を納める義務が免除されることとなる課税期間を対象としていますので、例えば、基準期間における課税売上高が1千万円を超えるような課税期間については適用することはできません。
 また、資本金1千万円以上の新設法人や調整対象固定資産や高額特定資産を取得して仕入税額控除を行った事業者などについては、2割特例の対象とはなりません。

 (注) 課税事業者が適格請求書発行事業者となった場合であっても、当該適格請求書発 行事業者となった課税期間の翌課税期間以後の課税期間について、基準期間の課税売上高が1千万円以下である場合には、原則として、2割特例の適用を受けることができます。

【2割特例を適用した場合の納付税額の計算イメージ】
 納付税額 = 売上税額 - 特別控除税額(売上税額の8割)
        ⇒ 売上税額の2割

<参考>
国税庁 インボイス制度に関するQ&A
01-01.pdf(nta.go.jp)

24. 制度開始に向けて特にご留意いただきたい事項(令和5年9月5日時点)

 インボイス制度開始まで1か月を切りました。国税庁は、ホームページで「インボイス制度の開始に向けて特にご留意いただきたい事項」を公表し、制度開始前後に問題となりそうな点についてわかりやすく説明しています。
 今回はこの中から、「登録申請期限」と「インボイスの交付対象時期」を取り上げます。
(1)登録申請期限
 制度開始日である令和5年10月1日から登録を受けるためには、令和5年9月30日までに納税地を所轄する税務署長に登録申請をする必要がありますが、9月30日が土曜日であるため、申請書の提出方法により提出期限が微妙に異なるので注意が必要です。

  • e-Taxの場合   →9月30日(土)の23:59:59までの受付
  • 郵送の場合   →9月30日(土)の通信日付印のあるものまで
  • 窓口提出の場合 →9月29日(金)の閉庁時間(17:00)まで
    ※期限日の9月30日は土曜日ですが、10月2日(月)まで期限は延びません
(2)インボイスの交付対象時期
 インボイス制度は令和5年10月1日から開始されますが、必ずしも10月1日以降に交付する請求書等からインボイスに対応しなければならない訳ではなく、10月1日の取引からインボイス交付義務が生じることになります。
 具体的には以下の日が10月1日以降になる場合、交付義務が生じます。
  • モノの販売  :出荷日、相手方の検収日など、引渡しの日として合理的な日
  • サービスの提供:物の引渡しを要する場合は、目的物の全部を引き渡した日
            物の引渡しを要しない場合は、役務の全部を完了した日
 なお、毎月15日締めで請求書を発行している場合のように、令和5年10月1日をまたぐ請求書については、登録日以後の課税資産の譲渡等について、適格請求書を発行することとなるため、課税資産の譲渡等の対価の額や税率ごとに区分した消費税額等の記載に当たっては、登録日前の課税資産の譲渡等に係るものと登録日以後の課税資産の譲渡等に係るものとに区分するなどの対応が必要となります。
 ただし、登録日が令和5年10月1日である場合については、買手において登録日前後の課税仕入れがいずれも仕入税額控除の対象となることから、登録日をまたぐ請求書を適格請求書とするときは、登録日前後の課税資産の譲渡等を区分することなく請求書に記載して交付することも認められます。(注:積上げ計算を行う場合などは別途対応が必要)
 制度開始日後であっても、免税事業者の方は登録申請の際に登録希望日(提出日から15日以降の登録を受ける日として事業者が希望する日)を記載することで、その登録希望日から登録を受けることができますが、上記のような制度開始日をまたぐ場合の実務や、登録取消し手続き等が異なるため、登録を決めた場合は令和5年9月30日までに登録申請する方がよさそうです。

25. 相続によりインボイス発行事業者の事業を承継した場合(令和5年9月15日時点)

 令和5年10月1日以後にインボイス発行事業者が死亡した場合、その相続人は「適格請 求書発行事業者の死亡届出書」を提出する必要があります。
 令和5年10月1日より前に死亡した場合は、登録の効力は生じません。その場合は、「個人事業者の死亡届出書」 を提出する必要があります。

 インボイス発行事業者の登録は事業者単位で行われ、インボイス発行事業者としての地位は相続人に引き継がれないこととなっています。そのため、相続により事業を承継した相続人が、インボイス発行事業者の登録を受けるためには、相続人の名で登録申請書を提出する必要があります。なお、相続人が既に登録を受けている場合は、提出する必要はありません。

 免税事業者である相続人が事業を承継する場合には、その相続人が登録を受けるまでインボイスの発行ができず事業の継続に支障をきたす恐れがあることから、被相続人が死亡した日の翌日から、次の(1)又は(2)のいずれか早い日までの期間をみなし登録期間として、インボイス発行事業者とみなす措置が設けられています。

(1)相続人がインボイス発行事業者の登録を受けた日の前日
(2)インボイス発行事業者が死亡した日の翌日から4月を経過する日

 みなし登録期間については、被相続人の登録番号が相続人の登録番号とみなされることになります。

(参考)
国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問16
01-01.pdf(nta.go.jp)

26. 売り手が負担する振込手数料相当額について(令和5年10月18日時点)

 売手からの代金請求について、取引当事者の合意の下で買手が振込手数料相当額を請求金額から差し引いて支払うことで売手が負担する商慣行があります。
 この場合、売手側では①振込手数料を支払った(支払手数料)または ②売上の値引きを行った(売上のマイナス) として処理を行うことが一般的です。
 売手が振込手数料相当額を売上値引きとする場合には、売上げに係る対価の返還等を行っていることとなりますので、原則として、買手に対して適格返還請求書を交付する必要がありますが、一般的には、こうした振込手数料相当額は1万円未満となると考えられますので、その場合は適格返還請求書の交付義務が免除されることとなります。
 なお、売り手が負担する振込手数料相当額について、経理処理を支払手数料としつつ、消費税法上、売上げに係る対価の返還等とすることもできますが、この場合であっても、売手が買手に対して売上げに係る対価の返還等を行った場合の適用税率は、売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等の適用税率に従います。そのため、軽減税率(8%)対象の課税資産の譲渡等を対象とした振込手数料相当額の売上値引きには、軽減税率(8%)が適用されます。
 この点、会計処理上は支払手数料のコードを売上げに係る対価の返還等と分かるように別に用意するといった、通常の支払手数料と判別できるように明らかにする対応が考えられます。

(参考)
国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」
問30 売手が負担する振込手数料相当額
01-01.pdf (nta.go.jp)

27. 出張旅費等特例は所得税非課税の範囲で対象(令和5年11月16日時点)

 社員に支給する出張旅費、宿泊費、日当等のうち、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。

 消費税法上、支給方法の違いによって出張旅費特例の適用関係が変わることはなく、出張旅費等に係る社内規定や基準の有無にかかわらず、また概算払いによるもののほか、実費精算によるものであっても、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額については特例の対象となります。

   通常必要であると認められる部分の金額とは、所得税基本通達9-3<非課税とされる旅費の範囲>に基づき判定するため、所得税が非課税となる範囲内で、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められることになります。なお通常必要であると認められる部分の金額を超える部分は社員に対する給与として、仕入税額控除の対象となりません。

   具体的には、社内規定で「1回の旅行につき支給額5,000円」となっているところ、所得税の非課税範囲も5,000円が認められるような場合であれば、その5,000円が出張旅費等特例の対象になり、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。

28. 返信用封筒に貼付した郵便切手に係る仕入税額控除の適用(令和5年12月18日時点)

 郵便切手類は、購入時においては原則として、課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時にその引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなります。
 適格請求書等保存方式においては、仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として適格請求書等の保存が必要となりますが、郵便切手類のみを対価とする郵便ポスト等への投函による郵便サービスは、適格請求書の交付義務が免除されており、買手においては、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用を受けることができます。
 なお、取引先に書類を送付し、その控えを返信用封筒で当社に送り返してもらう場合に、その封筒の中に同封する返信用封筒に郵便切手をあらかじめ貼付することがあります。
 この場合、返信用封筒に貼付された郵便切手類(自らが購入した郵便切手類)により返送を受けるのであれば、郵便切手類のみを対価とする郵便ポスト等への投函による郵便サービスを受けたものとして、帳簿のみの保存で仕入税額控除を行うこととして差し支えありません。
 (注)この場合、当該郵便切手類の購入時に仕入税額控除を行うことも可能ですが、その後、返送を受けないことが明らかとなった際には、その明らかとなった課税期間において、仕入控除税額を調整することとして差し支えありません。

29. 免税事業者からの仕入れも本体加算は不要に(令和6年1月17日時点)

 国税庁は、昨年12月27日に消費税経理通達を改正するとともに、「消費税経理通達関係Q&A」の改訂版を公表しました。令和6年度税制改正大綱を受けたもので、消費税経理通達では、簡易課税制度が適用される課税期間を含む事業年度の仮払消費税等の額の特例を新設しました。

 インボイス発行事業者以外の者から課税仕入を行ったときは、原則として、その課税仕入れに係る仮払消費税等の額はなく、仮に税抜経理方式により仮払消費税等の額として経理をした金額があっても、その経理をした金額を取引の対価の額に算入して法人税の課税所得金額の計算を行うこととされています。

 この点につき、令和6年度税制改正大綱では、簡易課税制度や2割特例を適用する事業者については、インボイスの保存が仕入税額控除の要件とされていないことなどを踏まえ、「令和5年10月1日以後に国内で行う課税仕入について、税抜経理方式を適用した場合の仮払消費税等として計上する金額につき、継続要件を条件として、当該課税仕入に係る支払対価の額に110分の10(軽減対象に係るものである場合には108分の8)を乗じた金額とすることが認められることを明確化するほか、消費税に係る経理処理方法について所要の見直しを行う」としました。

 税制改正大綱を受けた消費税経理通達の見直しでは、簡易課税制度または2割特例制度の適用を受ける事業者が税抜経理方式による処理を行う場合、継続適用を条件として、課税仕入れに係る取引対価の額の110分の10(または108分の8)を乗じて算出した金額を仮払消費税等の額とすることができる特例が追加されました。

 同特例を適用すれば、インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入であっても仮払消費税等の額を取引対価の額に算入する必要はないため、取引の相手方がインボイス発行事業者か否かの確認は不要となります。

税務通信 No.3785号 一部参照