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令和2年12月1日 コロナ禍の中での税務調査

 国税庁は11月30日、令和元事務年度(令和元年7月1日~令和2年6月30日)における法人税等の調査事績を発表しました。
 新型コロナの影響で中断していた税務調査は、10月から再び実施されたとはいえ、当事務所では、件数は減少し、その迫力も落ち着いていますが、特筆すべきトピックスとして、国税庁自身は、①調査1件当たりの追徴税額が連年増加、②納税者に対する3年間の接触率の合計12.8%と報告しています。

 発表された最新データを読むことで、今後の税務調査の傾向を知ることができます。
以下がポイントとなっています。
 ① 調査件数、申告漏れ所得は大幅減
 ② 1件当たりの追徴税額は増加
 ③ 簡易な接触の件数は微増(簡易な接触とは、税務署において書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請するものです。)

 まず、調査件数、申告漏れ所得は大幅減でした。(かっこ内は対前年比)
 ○ 法人税の調査件数・・・・・・7万6千件(△22.9%)
 ○ 申告漏れ所得・・・・・・7,802億円(△43.5%)
 コロナ禍で調査件数が大幅に減少していることと、会社の業績が大幅に悪化していることがわかります。調査件数は、統計を始めた1967年度以降で、最も少ない件数となりました。また、調査件数のうち非違があった件数、つまり申告に修正があった件数は5万7千件で、調査件数のうちで75%となっています。
 前年は調査件数の9万9千件のうち、修正件数は7万4千件で74.7%でした。この割合はほとんど変わりません。

 調査件数は減っていますが、1件当たりの追徴税額は増加しています。
 ○ 調査による追徴税額・・・1,644億円(△15.4%)
 ○ 1件当たり追徴税額・・・2,156万円(+9.7%)
 追徴税額は前年比で△15.4%と減少していますが、一方で、1件当たりでは9.7%と増加しています。調査件数は大幅に減っていますが、1件当たりの追徴税額は増えています。

 国税庁では、「データベースに蓄積された申告事績や法定調書のほか、税務職員が独自に収集した資料情報等から分析・検討を行い、不正に税金の負担を逃れようとする悪質な納税者等を的確に抽出するとともに、適切な調査体制を編成し、厳正な調査を実施している」、と発表していますので、コロナ禍とはいえ、調査に入るとかなり厳しく指摘される傾向は、以前と変わらないことは認識しておくべきです。


令和元事務年度 法人税等の調査事績の概要はこちら↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2020/hojin_chosa/pdf/hojin_chosa.pdf

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令和2年11月15日 令和2年分の年末調整書類、ここにご注意!?

 国税庁発行の冊子「年末調整のしかた」の表紙には次の記載があります。

「ご注意ください!!昨年の年末調整から変わっています!!
〇 「給与所得控除額」が改正されています。
〇 「基礎控除」が改正され、この控除を適用するためには、給与所得者から『基礎控除申告書』の提出を受ける必要があります。
〇 「寡婦(寡夫)控除」の適用要件の改正などが行われ、新たに「ひとり親控除」が創設されました。これにより、給与所得者から『扶養控除等申告書』の提出を受ける必要が生じる場合があります。
〇 「所得金額調整控除」が創設され、この控除を適用するためには、給与所得者から『所得金額調整控除申告書』の提出を受ける必要があります。」

 つまり、税制改正に伴い、年末調整の申告に必要な書類が増えました。これまでは『扶養控除等申告書』『配偶者控除等申告書』『保険料控除申告書』の3点でしたが、ここに『基礎控除申告書』『所得金額調整控除申告書』の2点が加わるのです。

 問題は、年末調整で基礎控除の適用を受けようとする場合には、今、勤務先に「基礎控除申告書」を提出する必要があるということです。新しい書類には、『年収の見積額』『所得金額の見積額』を記載する欄が設けられており、従業員さんたちが、年収の見積額をある程度正確に記載しようとすれば、1月~10月までの給与・賞与を集計して、11月、12月の給与・賞与の見積額を経営陣に問うことになります。
 コロナ禍の中で経営成績が振れているのに中小企業経営者が各人毎に年末賞与の概算額を知らせるのは、全く合理的ではありません。

 基礎控除とは、すべての納税者に適用されるもので、これまでは一律38万円が控除されていましたが、2020年分から最大48万円に引き上げられるとともに、合計所得が2400万円を超えた人は控除額が32万円、合計所得が2450万円を超えた人は16万円、合計所得が2500万円を超えた人には適用されない制度になりました。
 配偶者控除・配偶者特別控除を適用しない数多くのサラリーマンにとって、2,400万円には到達しません。なお、年収850万円超の高級サラリーマンは、サラリーマンの必要経費である「給与所得控除」の見直しで影響を受けるのですが、子育てや介護をする世帯の負担軽減のための「所得金額調整控除」が創設されています。
 正確には年収850万円までの配偶者控除・配偶者特別控除を適用しない数多くのサラリーマンにとっては無意味な集計を強いられることになります。

 国税庁発行の冊子「年末調整のしかた」はこちら↓
 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2020/pdf/nencho_all.pdf

令和2年11月1日 コロナ対策で消費税減税~ドイツに学べ?~

 新型コロナウイルスによる経済の落ち込みに対処するため、ドイツ政府が半年という期間限定で消費税の減税を実施しています。ドイツの動きを受けて、日本国内でも減税を求める声が高まりそうですが、日本でも減税を実現できるのでしょうか。

 ドイツ政府は今年の7月から半年間限定で日本の消費税に相当する付加価値税の減税を実施しています。

 ドイツの消費税率は極めて高く、現行では19%もありますが、これを半年限定で16%に引き下げ、食料品などに適用されている軽減税率も7%から5%に引き下げました。ドイツは好調な経済が続いてきたことから、税収も大幅に伸びています。日本で19%もの消費税を課税すれば経済は壊滅的な影響を受ける可能性がありますが、ドイツはこれだけ高い税率をかけても景気への悪影響はほぼゼロでした。しかしコロナ危機によってドイツ経済も悪化が予想されていることから、期間限定での減税実施に踏み切ったものです。
 しかし、付加価値税の減税は、閉鎖により売上がない状況にある飲食店にとり実質的な支援にならないなど批判的なコメントが相次いでいるようです。

 JETRO(日本貿易振興機構ジェトロ)より
 https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/05/dd3635a5ad2c50ae.html

 ドイツの決定を受けて、国内でも消費減税を求める声が高まることが予想されますが、現状の日本において減税を実施するのは至難の業でしょう。日本は慢性的な財政赤字となっており、政府債務の対GDP(国内総生産)比は先進国の中でも突出しています。一部では日本円での発行であれば、いくら国債を発行しても問題ないと主張する論者もいますが、主流派経済学では、過度な財政赤字は金利上昇や中央銀行の信用低下につながるため弊害が多いと解釈されています。
 この際、経理マン泣かせの軽減税率は廃止し、8%一律にすべきだ、とは税理士の独り言です。


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令和2年10月15日 固定資産税・都市計画税の減免措置~新型コロナウィルス感染症対応施策~

 新型コロナウィルス感染症の影響で売上が減少している中小企業者・小規模事業者への支援措置として2021年度に限り固定資産税・都市計画税の減免措置が設けられました。今回はこの措置の概要について解説いたします。

 新型コロナウィルス感染症の影響により、2020年2月~10月までの任意の連続する3か月間の事業収入が、前年同期比で50%以上減少していれば全額免除、同じく30%以上50%未満の場合は半額が免除されます。

 連続する3ヶ月間には新型コロナウィルス感染症の関係で事業を休業している期間も含めることができます。なお、持続化給付金や家賃支援給付金等の判定期間と微妙に異なっていますので、留意してください。
 複数の店舗を有する場合や複数の事業を営んでいる場合は、全店舗・全事業を合算した売上で判定します。

 対象となる事業者は、中小企業者および小規模事業者で、法人であれば資本金1億円以下(資本を有しない法人は従業員数1,000人以下で、大企業の子会社は除かれます。)、個人では従業員数1,000人以下の事業主が対象となります。
 医療法人、社会福祉法人、公益法人、特定非営利活動法人(NPO法人)、宗教法人も対象となります。

 対象資産は、事業用家屋および償却資産で、土地は対象外ですし、居住用家屋と一体になっている事業用の事務所は事業専用割合に応じた部分が対象となります。

 手続きの流れは、次の通りです。
 (1)中小事業者等は、税理士や会計士といった認定経営革新等支援機関等に①中小事業者等であること ②事業収入の減少 ③特例対象家屋の居住用・事業用割合について確認を受けます。
 2認定経営革新等支援機関等は、対象設備の所在する各地方自治体が定める申告書様式を利用して認定経営革新等支援機関等から申告書を発行します。
 32021年1月以降、償却資産税の申告期限(2021年1月31日)までに固定資産税を納付する市町村に、認定支援機関の確認を受けた申告書とともに同機関に提出した書類一式を提出し、減免を申告します。実務上は、償却資産税の申告と同じタイミングで提出することになると想定されます。

詳細は https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2020/200501zeisei.html

・・・当事務所は、認定経営革新等支援機関の認定を受けております。適用をお考えの事業者の方はご相談ください・・・

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令和2年10月1日 失敗しない「相続」

 週刊誌記事のタイトルで恐縮ですが、「失敗しない相続。死後の手続き2020」という特集がありました。「新制度『自筆遺言』『配偶者居住権』の落とし穴」というものが主な内容となっています。

 誰にも関係のある「死後の手続き」ですが、民法改正により、今年の7月から「自筆証書遺言の法務局保管制度」が始まりました。
 従来から、自筆証書遺言については、遺言書が紛失・亡失するおそれがある、相続人により遺言書の廃棄、隠匿、改ざんが行われるおそれがある、これらの問題により相続をめぐる紛争が生じるおそれがある、などの問題点が指摘されていました。
 新しい制度では、遺言者は法務局へ赴き、遺言の保管を申請します。原本は法務局が保管し、「保管証」がその場で交付されます。手数料は1件3,900円です。保管証が交付されることで、遺言書の閲覧(遺言者本人のみ)、保管申請の撤回、遺言書を法務局預けていることを家族に伝えやすいというメリットがあります。
 遺言者が亡くなった後、相続人らは遺言書の閲覧ができます。
 なお、法務局のHPには、「本制度の保管の対象となる自筆証書遺言書を作成する際の形式面での注意事項及び様式例は以下のとおりです。注意事項をよく確認しながら,遺言書を作成してください。」「遺言書保管所においては,遺言の内容についての質問・相談には応じることができません。」とありますので、内容は個人がよく検討する必要があります。
 本制度が始まったことから、自筆証書遺言が身近になりましたので、この機会に検討してみてはどうでしょうか。
  法務省HP➡ http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

 もう一つが今年の4月から施行された「配偶者居住権」です。残された配偶者が被相続人の所有する建物(夫婦で共有する建物でもかまいません。)に居住していた場合で,一定の要件を充たすときに,被相続人が亡くなった後も,配偶者が,賃料の負担なくその建物に住み続けることができる権利です。
 残された配偶者は,被相続人の遺言や,相続人間の話合い(遺産分割協議)等によって,配偶者居住権を取得することができます。
 配偶者居住権は,第三者に譲渡したり,所有者に無断で建物を賃貸したりすることはできませんが,その分,建物の所有権を取得するよりも低い価額で居住権を確保することができるので,遺言や遺産分割の際の選択肢の一つとして,配偶者が,配偶者居住権を取得することによって,預貯金等のその他の遺産をより多く取得することができるというメリットがあります。
  相続人にとっては相続税の節税にもなる制度なので、配偶者のいる高齢者の方は、適用要件を満たすか、利用すべきかを一度検討することをお勧めします。
  法務省HP➡ http://www.moj.go.jp/content/001263589.pdf

 なお、当事務所では恒例のシーズンセミナーでこのテーマを掘り下げて解説する予定です。コロナ禍なので、来場以外にもWEBも併用いたします。お気軽にご参加ください。
  セミナー案内➡ https://cms.tkcnf.com/library/5714af48f88093e32331e44e/5f76d775911bcb9179f4c971.pdf

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令和2年9月15日 Withコロナ・Afterコロナの日本の財政~消費税増税?減税?

 新型コロナウイルスの感染拡大で経済が冷え込んでいる中で行われた、自民党総裁選に立候補した菅義偉官房長官による「消費税率引き上げ必要」との発言が大きな反響を呼びました。早くもWithコロナAfterコロナの日本の財政が語られているというわけで、私たちも身構える必要があります。
 一方、2020年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算でマイナス28.1%(改定値)と、戦後最悪の下落です。新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言が出され、経済がストップしたことが最大の要因です。

 周知の通り、新型コロナウイルスの感染拡大で、世界中の国々が巨額の財政支出を行っています。日本でも一人あたり10万円の「特別定額給付金」だけで、政府の支出は約12兆円にのぼり、その他も含めれば決定・実施済みの対策費だけで国債の発行額は60兆円弱となる計画です。もともと第2次安倍政権時では財政赤字を穴埋めするために毎年30兆円台の国債を発行してきています。そのため、今年の国債の発行額は計90兆円超となることが確実で、しかも税収は大きく減少、追加対策も必要となれば、財政赤字が100兆円超となる可能性も十分にあります。

 今後、この巨額の赤字をどう穴埋めするのでしょうか。
 今は新型コロナが収束しておらず、世界中の国々も似たような状況にあるため、消費税増税を打ち出すタイミングではありません。そこで、考えられることは、①東日本大震災の後に課されることになった「復興税」などによる増税です。通常の所得税や法人税に上乗せする形を取ることがすぐ考えられます。②コロナ対策のために支出した財政支出分を通常の税金とは別区分にして寄付金を募る方法です。「可視化」することで、国民の理解も得られやすそうです。③何らかの金融所得課税やトマ・ピケティの本「21世紀の資本論」でいうところの資産課税です。富裕層増税と言えるでしょう。④優遇税制と呼ばれる措置の廃止(退職所得課税強化もそのうちの一つ)も当然俎上に上るでしょう。

 下記は政府税制調査会の審議資料(HPより)です。足元の財政状態がわかる資料ですので、ぜひ一度ご覧ください(特に11頁)。
 https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2020/2zen2kai1.pdf

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令和2年9月1日 防災の日2020

 9月1日は防災の日。今年の防災の日はコロナ禍の中、迎えることになりました。
 すでに記憶が薄くなっていますが、本年7月、九州や長野、岐阜両県など広範囲で大きな被害を出した豪雨はすでに「特定非常災害」に指定され、債務超過に陥った企業の破産手続き留保や、各種許認可の有効期限延長といった特例措置が適用されています。2018年の西日本豪雨、2019年の台風19号も指定してされており、3年連続の7例目です。毎年の大きな自然災害のたびにBCP計画の必要性が叫ばれていますし、税制も後押ししています。

 そして今私たちが直面しているのが「コロナウィルスの感染拡大」です。それまでの地震や水害へのBCP対策の浸透により、食料の備蓄や施設の耐震、非常用電源の確保などへの取組みは強化されていましたが「感染症」への対策を充分に実施していた企業は少なく、マスクやアルコールの備蓄、テレワーク体制づくりや行政からの要請による休業など想定外の事態に日本社会全体が困惑しています。

 2020年以降は、こうした「感染症」に対するBCP対策の重要性が高まり、充分な対策が必要になってくることが想像できます。すでにこのコーナーでも取り上げていますがBCP対策の「BCP」とは、「Business Continuity Plan」の略で「事業継続計画」という意味です。
 その名の通り「事業を継続するための計画」のことなのですが、緊急事態に限った計画として用いられる為「緊急事態においても事業を継続するための事前計画」と解釈すると分かりやすいでしょう。①災害などの「緊急事態」が起き、②企業が被害を受けた際に、③その後も「事業を継続していく為」に、④予め対策として立てておく計画です。

 税制の優遇措置はとても貧弱ですが、防災の日2020に当たって、自社のBCP対策を検討する機会としてください。
【BCP税制上の優遇措置】以下の設備に特別償却(20%)が適用可能(2020年末まで)

  • ■機械類(100万円以上):自家発電機、排水ポンプなど
  • ■器具備品(30万円以上):免震ラック、衛星電話など
  • ■建物附属設備(60万円以上):防火シャッター、排煙設備など

【中小企業がテレワーク等のために行う設備投資】
中小企業経営強化税制を拡充し、その対象に加えられました。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/keizaitaisaku/pdf/keizaitaisaku_1.pdf

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令和2年8月15日 コロナ直撃!後継者難倒産

 新型コロナウイルス感染症の直撃により、東海3県に本社を置く上場企業の令和2年4~6月期決算では8割強が減収で、赤字企業が4割強と報道されていました。興行業や宿泊業、外食産業、そして自動車関連などの製造業も減益又は赤字となっています。
 上場企業ですらこの厳しい決算に喘いでいるのですから、中小企業の経営難は推して知るべしです。
 一方、コロナ禍において後継者難倒産が増加しています。
 東京商工リサーチによれば、「2020年上半期(1-6月)の『後継者難』倒産は194件(前年同期比80%増)」だったとのこと。「前年同期の約1.8倍増に急増し、集計を開始した2013年以降、年上半期では2018年同期(146件)を上回り、過去最多を記録した。」とあります。国は雇用調整助成金・家賃給付金、持続化給付金など各種助成金や、民間金融機関を窓口とした実質無利息融資の拡大などで、中小企業の資金繰り支援を行っていますが、それでは解決しない問題が「事業承継」です。このような状況を踏まえると、事業承継の円滑化に向けた取組は中小企業経営者や支援機関、国・自治体等、すべての当事者にとって喫緊の課題であると言えます。
 事業承継は、親族内承継、役員・従業員承継、社外への引継ぎ(M&A等)の3パターンありますが、「後継者難倒産」とならないよう、早めの始動とシミュレーションを行っておくべきです。
  中小M&Aガイドライン~第三者への円滑な事業引継ぎに向けて~
 令和2年3月中小企業庁
 https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200331001/20200331001-2.pdf

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令和2年8月1日 自動車業界の先行き

 新型コロナウィルス感染症の世界的な拡大は、100年に一度の大変革期にある自動車産業にも甚大な影響を及ぼしています。各国で実施されたロックダウン(日本では緊急事態宣言)に伴い移動需要は半減し、欧・米・中における自動車購買需要は2020年3月の時点でおよそ4~5割減少するとの報道があるなど、自動車産業の事業者は深刻な課題に直面しています。

 三菱自動車は、先月末、新型コロナウイルス感染拡大による販売低迷が要因で、2021年3月期の連結純損益が3600億円の赤字になる見通しだと発表し、経営再建に向け、スポーツタイプ多目的車(SUV)「パジェロ」の生産から撤退し、子会社である岐阜県坂祝町にある、パジェロ製造工場での生産を21年度上期に停止、閉鎖することも正式発表しました。
 他の自動車メーカーでも閉鎖の動きがあります。トヨタ自動車は子会社の東富士工場を今年末までに閉鎖、ホンダは埼玉県の狭山工場を21年度までに閉鎖するとの報道もあります。

 裾野が広い自動車産業は地方経済を雇用や税収面で支えており、大手でこのような動きが出ると、地方創生の観点から大きな痛手となりますし、何といっても中小製造業に与える影響は甚大です。持続化給付金も雇用調整助成金も雀の涙です。事業承継どころではなく、事業閉鎖を考えなければならなくなるかもしれません。

 アフターコロナ、自動車業界の未来のキーワードは「自動運転化」です。無人走行の開発と密接な関係にあるのはEVですが、技術開発へのハードルは高く、中小製造業経営者の心が折れないか、心配です。

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令和2年7月15日 令和2年分の路線価の異常事態

 国税庁は例年通り、7月1日、令和2年分の路線価等を公表しました。路線価はご存知の通り、その年に生じた相続や贈与で取得した土地等の評価額を算定するのに用いるものです。
 令和2年分の都道府県庁所在都市の最高路線価の対前年変動率については、38都市(前年33都市)で上昇、8都市(同13都市)で横ばい、1都市(同1都市)のみ下落しています。
 全国における最高路線価は「東京都中央区銀座5丁目銀座中央通り(鳩居堂前等)」で、1㎡当たり4,592万円(前年4,560万円。0.7%アップ)でした。平成29年分以降4年連続で路線価の最高額を更新しており、鳩居堂前は昭和61年分以降、35年連続で全国最高地点となっています。名古屋市は、都道府県庁所在都市の最高路線価の価額では全国第4位で、「中村区名駅1丁目名駅通り」1,248万円(前年1,104万円。13%アップ)でした。

 ところで、路線価は毎年1月1日を評価時点とし、同日以後1年間の地価変動等を考慮して時価の80%程度を目途に算定されています。年の途中で地価が大幅に下落したことで、路線価が時価を上回ることになった場合、通常は、不動産鑑定士による鑑定評価などで、路線価によらず個別に評価することになります。
 しかし、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、今後の社会経済情勢や不動産市場の先行きは不透明といえることから、令和2年分の路線価については、多数の納税者が鑑定評価によることになるような『広範な地域』において、評価時点の時価よりも概ね20%以上下落し路線価が時価を上回るような『大幅な地価下落』が確認された場合には、路線価が時価を上回らないように路線価に一定の「補正率」を設定し評価するなど、納税者の申告の便宜を図る方法が幅広く検討されるようです。

 国税庁においては、9月頃に国土交通省が公表する「都道府県地価調査」(7月1日時点の地価)の状況や、外部の事業者に調査を委託するなどして広範な地域で大幅な地価の下落が確認された場合などには、本年10月頃以降に令和2年分の路線価を減額調整する「補正率」の設定などを幅広く検討する方向です。
 これまでもバブル崩壊や、リーマンショックにより地価の大幅な下落がありましたが、今回補正率を設定することになれば初めてのことだといいます。

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令和2年7月1日 業務のデジタル化(テレワーク)促進税制

 新型コロナウイルス感染症の影響で俄かにメジャーになったテレワークについて、税制優遇措置がスタートしています。
 中小企業経営強化税制について、特定経営力向上設備の対象に、業務のデジタル化(テレワーク等)を促進するために、遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかを可能にする投資計画に記載された設備が加えられました。
 中小企業経営強化税制とは、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を取得や製作等した場合に、即時償却又は取得価額の10%の税額控除(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)が選択適用できるものです。 
 これまで、生産性向上設備(A類型)、収益力強化設備(B類型)が対象になっておりましたが、新たにデジタル化設備(C類型)が対象に加わりました。

 デジタル化設備とは、抽象的には、下記のいずれかに該当する設備ですが、税理士法人ではその詳細をイメージできませんが、顧問先の皆様においては理解可能だと思います。
 遠隔操作設備とは、デジタル技術を用いて、遠隔操作をすることを通して、事業を非対面で行うことができるようにすることや、通常行っている業務を、通常出勤している場所以外の場所で行うことができるようにすることです。
 可視化設備とは、データの集約・分析を、デジタル技術を用いて事業プロセスに関する最新の状況を把握し経営資源等の最適化を行うことができるようにすることです。
 自動制御化設備とは、デジタル技術を用いて、状況に応じて自動的に指令を行うことができるようにし、現在行っている事業プロセスに関する経営資源等を最適化するためのものであることです。

 経営力向上設備等のうち、中小企業経営強化税制のデジタル化設備(C類型)を取得する経営力向上計画を申請される方は、計画申請の際、経済産業局によるデジタル化設備に関する確認書が必要になります。設備取得の前に、お声がけください。なお、確認書は申請してから発行されるまで数日~1ヶ月程度かかるため、余裕を持った申請をお願いします。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2020/200522ckakunintebiki.pdf

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令和2年6月15日 ひとり親控除スタート

 令和2年分の所得税からは、未婚のひとり親であっても、以下の要件をすべて満たす場合には35万円の所得控除を受けられるようになりました。
 a. 生計を一にする子(総所得金額等が48万円以下)がいる
 b. 合計所得金額が500万円以下である
 c. 住民票に事実婚の夫(もしくは妻)がいる旨の記載がない
 改正前は、離婚や死別によるひとり親には「寡婦(寡夫)控除」という制度があるものの、そもそも婚姻していないひとり親に対しては税制上の支援がなく、不公平との指摘がなされてきました。
 また、従来から存在する寡婦控除・寡夫控除についても、寡婦(女性)と寡夫(男性)との不公平感が指摘されてきたため、令和2年分の所得税から以下の見直しが行われることになりました。

  • 寡婦控除にも「合計所得金額500万円以下」の要件を追加
  • 寡婦(寡夫)控除に「住民票に事実婚の夫(もしくは妻)がいる旨の記載がない」の要件を追加
  • 生計を一にする子がいる寡婦(寡夫)の控除額を「35万円」に増額

このように、ひとり親は、婚姻歴の有無や性別にかかわらず、その者と生計を一にする子を有するなど、上記要件を満たす単身者が該当することとなります。そのため、改正前は寡婦(寡夫)控除の対象ではなかったいわゆる未婚のひとり親が「ひとり親」に該当することとなる場合や、反対に、改正前は寡婦(寡夫)控除の対象であった方が「ひとり親」に該当しないこととなる場合があり、国税庁でも注意を呼びかけています。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020004-145.pdf
 この改正は令和2年分の所得税から適用されるので、今年からいきなりスタートです。具体的には、令和2年分以後の年末調整(令和2年分の年末調整については同年中に支払うべき給与等でその最後に支払をする日が同年4月1日以後であるものに限ります。)及び確定申告において適用されます。
 ところで、事実婚は対象外となっていますが、具体的には、住民票で「夫(未届)」あるいは「妻(未届)」の記載があると対象外ということです。しかし、果たして,住民票を取得して貰って、会社に提出させるということをするのか、個人情報にうるさいこのご時世にという疑問が出てきます。しかも、確認せずに間違っていると、後から,市町村で是正されることになります。そのように市町村に指示する事務連絡が総務省から出されているので、会社側は確認しなくていいですとは言えない、おかしな改正となっていますのでご留意ください。

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令和2年6月1日 助成金、給付金、特別融資

 コロナ禍での様々な政策が日々更新されています。当事務所でもこのメールマガジンや事務所ホームページで随時更新していますが、なかなか複雑です。
 「雇用調整助成金」「持続化給付金」「特別定額給付金」「小学校休業等対応助成金」などの収入となるもの、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」「セーフティネット4号貸付」「医療貸付」などの借入であるものなどが混在して併存しています。
 ところで、助成金、給付金には非課税のモノと課税のモノがあります。
 「雇用調整助成金」「持続化給付金」「小学校休業等対応助成金」「愛知県・名古屋市新型コロナウイルス感染症対策協力金」は課税ですので。法人であれば雑収入計上し、個人事業主であれば事業所得に区分されます。一方、「特別定額給付金」は非課税です。
 「特別定額給付金」は、4月27日時点で住民基本台帳に記録されている者すべてに一律10万円を支給するものですが、5月末時点では筆者の手元には申請書は(アベノマスクも)届いていません。マイナンバーカードがあればWEB申請できるので便利、との触れ込みがありましたが、様々な障害があって停止、結局文書による郵送申請が主流になりつつあります。これは「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための臨時特例法」により非課税と明記されています。
 「雇用調整助成金」「持続化給付金」「小学校休業等対応助成金」「愛知県・名古屋市新型コロナウイルス感染症対策協力金」等に課税が及ぶのはなぜか、と問われますが、収入の中で「非課税規定がないから」としか回答できません。「家賃補助制度」も課税となりそうです。しかし、国民の感覚とずれているように思えてなりません。

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令和2年5月15日 コロナ禍によるイベント中止

コロナ禍により、各地でのイベントが中止に追い込まれています。
 政府の自粛要請を踏まえて一定の文化芸術・スポーツイベントを中止等した主催者に対し、観客等が入場料等の払戻しを請求しなかった場合には、放棄した金額について、寄附金控除(所得控除又は税額控除)の対象となりました。
 この対象になるのは、次の要件を満たしたものになります。
 ①文化芸術又はスポーツに関するものであること
 ②令和2年2月1日から令和3年1月31日までに開催された又は開催する予定であったものであること
 ③不特定かつ多数の者を対象とするものであること
 (広く一般にチケット等が販売されており、数名以上の参加が想定されていたものを指します)
 ④日本国内で開催された又は開催する予定であったものであること
 ⑤新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により、現に中止・延期・規模縮小されたものであること
 ⑥⑤の場合に払戻しがされたもしくはされる予定であること
 さらに、寄附金控除の対象となるのは、上記の要件を満たすものとして主催者が文化庁・スポーツ庁に申請し、指定を受けたイベントです。上記の要件を満たす全てのイベントが自動的に対象となるものではありませんので注意が必要です。
 参加イベントが対象となっているかについては、必ず文化庁・スポーツ庁のHP(申請中イベント、指定イベントの一覧を公表)あるいは主催者のオフィシャルサイトを確認する必要があります。
 文化庁・スポーツ庁のHPには、例えば次のイベントが掲載されています。
 古澤巌~品川カルテットコンサート2020in宇部音楽2020年6月4日
 京都芸術花火2020その他文化芸術イベント2020年6月10日
 詳しくは、「文化庁ホームページ(文化庁ホームページへリンク、別ウィンドウ)」をご確認ください。
 ところで、ナゴヤドームのシーズンチケットはどうなるのでしょうか。
 「開幕延期に伴いシーズンチケットが無効となる試合については後日振り替えて開催する予定」であり、「その場合は詳細決定後、ご契約のオーナー様へ別途お送りさせて頂きます。」とホームページには告知されていますが、どうなることか。

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令和2年5月1日 持続化給付金と特別定額給付金の申請がスタート

 「持続化給付金」の申請手続きは、中小企業庁ホームページで公開されています。当事務所のホームページからもリンクできますのでアクセスしてください。
 URLはhttps://www.jizokuka-kyufu.jp/になります。
 詐欺も発生している様なのでURLはしっかり確認した方がいいと思います。申請が殺到でログインできない問題が多数発生している様ですので、余裕をもって申請してください。
 この持続化給付金は、新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者を対象とした給付金です(ただし、昨年1年間の売上からの減少分が上限です)。ポイントは

  • 持続化給付金は、法人は200万円、個人事業主は100万円を上限に支給が行われる
  • 持続化給付金の申請には、法人も個人事業主も「前年度(分)の確定申告書の控え」が必要である
  • 申請は、原則としてインターネットを通じて行う
    となります。
       法人の場合、給付額の算定方法は、
       前年の総売上(事業収入)―(前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)
      です。計算式は簡単で、資本金10億円以上の大企業を除く、中小法人等を対象とし医療法人、農業法人、NPO法人など、会社以外の法人についても幅広く対象となります。
       給付金の申請期間は令和2年5月1日から令和3年1月15日までとなります。
       添付資料は次の通りです。
      ①対象月の属する事業年度の直前の事業年度(原則2019年度)の確定申告書別表一の控え(1枚)、及び法人事業概況説明書の控え(2枚(両面))
      ②対象月の月間事業収入がわかるもの(2020年〇月と明確に記載されている)
      ※売上台帳、帳面その他の対象月の属する事業年度の確定申告の基礎となる書類を原則とする。
       ここで、確定申告書別表一、法人事業概況説明書の控えと言われてもピンとこない方は、当事務所までご一報ください。

       次に「特別定額給付金」です。特別定額給付金は、住民基本台帳に記録されている方を受給対象者として、1人につき10万円が支給される給付金です。
       申請方法は簡単です。当事務所のホームページで約5分間の申請方法を説明する動画を公開しています。ぜひご確認ください。


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      令和2年4月15日 コロナ禍による申告・納付期限の延長

       新型コロナウイルス感染症の影響が幅広い業種で発生しています。
       当事務所の顧問先さんでも、売上消滅で事業継続ができない娯楽業、家賃支払ができない飲食業と家賃収入が激減の不動産賃貸業、風評被害にあっている又は外部者の来訪を規制する医療機関、受注高が減産に次ぐ減産の製造業、感染者発生で出勤できないサービス業等々、影響のない顧問先様はありません。
       その中で、最も決算・申告業務の集中する3月決算法人の申告・納税期限が迫ってきました。
       国税庁は、新型コロナウイルス感染症の影響により、法人がその期限までに申告・納付ができないやむを得ない理由がある場合には、申請により、期限の個別延長が認められることを公表しました。
       https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/0020004-044.pdf
       このやむを得ない理由については、例えば、法人の役員や従業員等が新型コロナウイルス感染症に感染したようなケースだけでなく、次のような方々がいることにより通常の業務体制が維持できないことや、事業活動を縮小せざるを得ないこと、取引先や関係会社においても感染症による影響が生じていることなどにより決算作業が間に合わず、期限までに申告が困難なケースなども該当することになります。
       ① 体調不良により外出を控えている方がいること
       ② 平日の在宅勤務を要請している自治体にお住いの方がいること
       ③ 感染拡大防止のため企業の勧奨により在宅勤務等をしている方がいること
       ④ 感染拡大防止のため外出を控えている方がいること

       個別に申告・納付期限の延長が認められることになった税目は、法人税だけではなく、消費税や源泉所得税も対象となります。申告・納付期限の延長期間は延滞税や利子税も発生しません。別途、申請書等を提出する必要はなく、申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記する等で対応できます。この場合、申告期限及び納付期限は原則として申告書等の提出日となりますので、個別に対応できます。
       さらに納付期限において納税ができない場合には、税制改正によって、新たな納税猶予制度(延滞税、担保なし)が成立する見込みです。
       資金繰りという面だけではなく、決算、申告業務従事者の出勤自粛に対応する目的もありますので、ぜひご検討ください。


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      令和2年4月1日 新型コロナウイルス感染症対策情報 ~政府等の企業向け支援策~

       未だ終息しない新型コロナウイルスの影響を受け、コロナショックの影響が日に日に大きくなっており、毎日のように顧問先からご相談を頂いています。
       金融機関の現場も混乱状態にあり、毎日100件以上の相談があると某金融機関の課長さんがおっしゃっていたそうです。
       世界的企業であり、かつ手元資金が6兆円あると言われているトヨタ自動車が、三井住友銀行と三菱UFJ銀行に対し、計1兆円規模のコミットメントライン(融資枠)の設定を要請したことが明らかになったとの新聞報道がありました。足元でトヨタの財務基盤は強固ですが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で不透明感が増す事業環境に備えると聞けば、自社も資金の準備を、との行動はうなずけます。
       そんな状況ですので、今から融資を相談しても実行されるまでにかなりの時間がかかりそうです。まずは資金の確保策についての相談です。
       二つ目は前回のメールマガジンでもご紹介した、中小企業の休業手当・賃金等の3分の2を助成する「雇用調整助成金」や雇用の維持の話です。支援制度を適用可能な中小企業者の範囲や助成割合などに多くの特例措置が設けられています。
       三つめは新型コロナウイルス感染症の発生に伴い財産に相当の損失を受けた納税者等、売上げの急減により納税資力が著しく低下している納税者等は、徴収の猶予等が認められることがあります。法人税・消費税・源泉所得税等国税及び地方税の納税猶予や申告期限の個別延長申請の話です。
       四つ目は、前向きな補助金の話です。ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金や小規模事業者補助金、IT導入補助金等多くの公的資金の導入が始まっています。

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      令和2年3月15日 新型コロナウイルス対応施策

       世界に急拡大している新型コロナウイルスに対する施策が発表されています。
       国税庁関連では、所得税の確定申告・納付期限が1か月延長され、振替納税が5月15日まで延長されるなどの措置が取られています。また、新型コロナウイルスの影響を受ける納税者の負担を軽くするべく、大きな損失が生じた企業や感染者らの税金の支払いは原則1年猶予すること、一斉休校措置などでベビーシッターを利用する家庭については税負担の軽減策を設けることなどが発表されています。
       経済産業省からも多方面にわたる施策が発表されていますので、その主なものをご紹介します。
      (1)日本政策金融公庫が無担保・無保証人で融資を行う制度に新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置
      (2)金融機関等への配慮要請
      (3)雇用調整助成金の特例措置
      (4)小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援
      (5)テレワークに関する情報提供
      (6)テレワーク導入に活用できる支援策
      (7)IT導入補助(生産性革命推進事業の内数)
      (8)現地進出企業・現地情報及びジェトロ相談窓口
        ①操業再開に向けた中国の省市別支援策
        ②ビジネス短信の発信
        ③新型コロナウイルス関連相談窓口
       詳細は下記アドレスからご確認ください。
       https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
       この中でも、助成金の特例措置は重要項目ですので今回は特別に社会保険労務士の辻先生に寄稿いただいていますのでご参考ください。

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      新型コロナウイルス感染症に伴う助成金の特例

                            社会保険労務士 辻 友一郎

        ※2020年3月7日時点での情報です。今後条件等が変更される場合もあります。

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       新型コロナウイルスによる助成金として厚生労働省は、企業の負担軽減策として下記のABと、感染拡大防止のため特例コースのCが準備されています。
      ■A.雇用調整助成金
      ■B.【新設】コロナウイルスに係る小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得支援
      ■C.時間外労働等改善助成金(テレワークコース、職場意識改善コース)の特例

      ■A.雇用調整助成金(特例)
      【概要】
      ①新型コロナウイルス感染症の影響により、
      ②売上等が減少したことによって、仕事が少なくなり、
      ③従業員を休業させた場合に、その賃金の一部を補助する助成金。
      法律上、従業員を一時的に休業させる場合、休業手当(平均賃金の60%以上)を支払わなければなりませんが、雇用調整助成金はその休業手当の一部を助成してくれます。
      【助成金の支給対象となる従業員】
       新規学卒採用者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6か月未満の労働者についても助成対象とします。
      【助成金を貰うための主な条件】
       直近1ヶ月例えば2020年3月の生産量、売上高などの生産指標が、前年同期2019年3月と比べて10%以上減少していること
       ※過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主についても要件が緩和され対象となる可能性があります。
      【受給金額】
       休業を実施した場合の休業手当の金額に、助成率(50%~67%)を掛けた金額。ただし、1人1日当たり8,330円が上限。
      【受給手続きの流れ】
       通常、事前に計画届の提出が必要。
       令和2年1月24日以降に初回の休業等がある計画届については、令和2年5月31日までに提出すれば、休業等の前に提出されたものと扱います。つまり、雇用調整を実施した後に計画届を提出しても助成金の対象となります。

      ■B.【新設】コロナウイルスに係る小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得支援
      【概要】
       新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子の保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規・非正規を問わず、労働基準法上の年次有給休暇とは別に、有給の休暇を取得させた企業に対する助成金。
      【対象事業主】
       下記①又は②の子の世話を行うことが必要となった従業員に対し、労働基準法上の年次有給休暇とは別に、有給の休暇を取得させた事業主
      ①新型コロナウイルス感染拡大防止策として、臨時休業した小学校等※に通う子
       ※小学校等とは…小学校、特別支援学校(高校まで)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等
      ②風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある、小学校等に通う子
      【支給額】
      休暇中に支払った賃金相当額×100%
      ※支給額は8,330円を日額の上限とする。
      【適用日】
      令和2年2月27日から同年3月31日までの間に取得した休暇

      ■C.時間外労働等改善助成金(テレワークコース、職場意識改善コース)の特例
      【概要】
       新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、テレワーク導入や特別休暇の規定整備は急務である。このため、既存のコースの要件を簡素化した上で、特例コースの申請受付を開始する。
      ●テレワークコース
      【対象事業主】
       新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規で導入する中小企業事業主
      【助成対象の取組】
       テレワーク用通信機器の導入・運用・就業規則・労使協定等の作成・変更等
      【要件】
       事業実施期間中にテレワークを実施した労働者が1人以上いること
      【事業実施期間】
       令和2年2月17日~令和2年5月31日
      【支給額】
       補助率:テレワーク用通信機器の導入・運用※等に係る費用の1/2
       (1企業当たりの上限額:100万円)
       ※パソコン、タブレット、スマートフォンは支給対象となりません。
      ●職場意識改善コース
      【対象事業主】
       新型コロナウイルス感染症対策として休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主
      【助成対象の取組】
       就業規則等の作成・変更・労務管理用機器等の購入・更新等
      【要件】
       事業実施期間中に新型コロナウイルスの対応として労働者が利用できる特別休暇の規定を整備すること
      【事業実施期間】
       令和2年2月17日~令和2年5月31日
      【支給額】
       労務管理用機器の導入・更新※等に係る費用の3/4(一定の条件で4/5)
       (上限額:50万円)
       ※パソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
      【助成金受給するための前提条件】
      1.雇用保険の適用事業所であること。
      2.支給のための審査に協力すること。
      3.申請期間内に申請を行うこと。
      4.過去3年以内に助成金を不正に受給していないこと。
      5.労働保険料の滞納がないこと。
      6.支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行っていないこと。等
      【助成金活用のためのチェックリスト】
      □法定三帳簿(以下の3点)の備え付けがある(全従業員分)
      ・労働者名簿がある
      ・出勤簿(タイムカード等)がある
      ・賃金台帳(給与明細書等)がある
      □従業員に雇用契約書又は労働条件通知書を渡している
      □就業規則を作成している
      □労働保険料を滞納なく納めている
      □雇用保険適用事業所である(雇用保険適用事業所番号がある)
      □雇用保険に未加入の者がいない
      ・所定労働時間が週20時間以上の従業員は全員加入している

      本情報が皆様の企業経営にとって少しでもお役に立てれば幸いです。ご不明点等は、お気軽にご連絡ください。

      東海労務センター 社会保険労務士 辻 友一郎
      hp:https://tkirc.jp
      mail:tsuji@tkirc.jp


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      令和2年3月1日 新型コロナウイルスによる確定申告期限の延長

       新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府は大規模イベント自粛要請に続き、全国の小中高校などに要請した臨時休校の是非が問われています。また、3月2日から春休みに入るまで臨時休校するよう要請したことを受け、企業は対応に追われています。在宅勤務の対象拡大のほか、子連れ出勤を可能にしたり有給休暇を与えたりと取り組みは様々です。
       しかし、平時から在宅勤務のシミュレーションをしてこなかった当事務所では、確定申告作業ピークのこの時期、時差出勤くらいしか手立てがありません。

       ところで、令和2年2月27日、国税庁から、「申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の延長について」という通知が発せられました。
       「現在、全国の税務署においては、納税者の方が円滑かつ正確に申告書を作成していただけるよう、確定申告相談会場を開設し、申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告相談に応じています。今般、政府の方針を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告期限・納付期限について、(令和2年3月16日(月)等から、)令和2年4月16日(木)まで延長することといたしました。」
       確定申告では医療費の還付申告などで高齢者を含め、多くの人が短期間に集中して申告会場や税務署などに集まることから、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、期限の延長に踏み切ったものです。申告会場や税務署は大変混雑しますし、従事する税理士や税務職員も感染のリスクを抱えながらの業務は危険でしたので、一安心です(もっとも、延長された後の申告会場手配や従事員の確保対策は多分これからなのだと思います。)

       なお、当事務所にご依頼いただいている納税者の方々の申告は予定通り3月16日(月)までに済ませる予定です。
       ところで、申告所得税及び個人の消費税の振替納税の振替日についても、延長することとしていますが、現段階では詳細は把握できていません(下記参照)。

      https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kansensho/pdf/0020002-130.pdf

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      令和2年2月15日 富裕層・インターネット取引を行っている個人は確定申告に留意

       令和元年の所得税確定申告の期限が近づいてきました。令和元年の所得税、贈与税、財産債務調書等の申告期限は、令和2年3月15日が土日祝日にあたるため、翌日の3月16日(月)となります。納期限も同日となります。振替納税の場合、所得税は令和2年4月21日(火)、消費税は令和2年4月23日(木)に口座引き落としとなります。
       事務所の確定申告事務作業は今がピークですが、今年はオリンピックイヤーで閏年(うるうどし)のため1日多く、かつ申告期限が16日なので都合2日間余裕があって助かります。

       ところで、先日、国税庁から「平成30事務年度における所得税の調査等の状況」が発表され、気になる報道がありますのでご紹介します。当局の重点に、「富裕層」「海外投資」「インターネット取引」があります。

       富裕層に対する調査状況では、「有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な個人など、「富裕層」に対して、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に積極的に調査を実施しています。」とあり、特に、海外投資等を行っている「富裕層」に対しては、1件当たりの追徴税額は914万円で、所得税の実地調査全体の1件当たりの追徴税額180万円の5.1倍と特に高額となっています。

       海外投資等を行っている個人に対する調査状況では、「経済社会の国際化に適切に対応していくため、有効な資料情報の収集に努めるとともに、海外投資を行っている個人や海外資産を保有している個人などに対して、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約等に基づく情報交換制度のほか、CRS情報(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)などを効果的に活用し、積極的に調査を実施しています。」とありますので、あらかじめの情報提供をお願いします。

       インターネット取引を行っている個人に対する調査状況では、「シェアリングエコノミー等の新たな分野の経済活動をはじめ、インターネット取引を行っている個人に対しては、資料情報の収集・分析に努め、積極的に調査を実施しています。」としています。平成30事務年度においては、2,127件実地調査を実施し、1件当たりの申告漏れ所得金額は、1,243万円となっており、全体の1件当たりの申告漏れ所得金額1,045万円の約1.2倍となっています。ターゲットは、デジタルコンテンツ、ネット通販・オークション、暗号資産(仮想通貨)、アフィリエイト等のネット広告、民泊などのシェアリングビジネス・サービスです。インターネットを利用した取引については、当局が将来的に情報を事業者から取得できるということで、全て把握されていることを前提に申告をすべきです。

       なお、現在国は副業を進める政策を展開しています。給与所得者で、副業所得が20万円以下であれば所得税の申告義務はないのですが、20万円以下であっても,医療費控除などを受けるために申告をする場合には、副業所得を除外できないことを知らない方が結構多いと感じますから要注意です。

       詳細はこちらです↓。
       http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/shotoku_shohi/pdf/0019011-068.pdf

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      令和2年2月1日 中小企業関連の補正予算が成立「ものづくり補助金が大幅増」に注目

       令和2年1月に令和元年度の補正予算「中小企業生産性革命推進事業」が決定されました。それを受けて中小企業庁より地域・中小企業・小規模事業者関連の予算が公表されました。中小企業が抱える「経営者の高齢化」「人手不足」と今後も慢性的に抱える課題を重視した取り組みになっています。更には働き方改革や社会保険適用拡大、インボイス導入など相次ぐ変更への対応も考慮しています。
       注目点は、補助金の規模の大きさです。
       設備投資を検討の企業様はぜひ補助金を視野に入れた計画をお勧めします。

       この政策は、「働き方改革やインボイスなど法制度変更への対応による後手になりがちな生産性向上施策を継続的に支援します」という趣旨です。
       毎年恒例となったものづくり補助金やIT補助金、小規模事業者持続化補助金を一体運用する内容です。また、AI導入を支援する多面人材の育成や普及も行います。
       予算額が令和元年補正ベースで、3,600億円となっていますが、単年ではなく複数年にわたる予算と考えられます。
       なお、補助金は上限1,000万円、補助率50%で、要件として①付加価値額+3%以上/年、②給与支給総額+1.5%、③事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円です。

       その他、事業承継・再編・創業等で新陳代謝の促進、地域の稼ぐ力の強化・インバウンド拡大、経営の下支えや事業環境の整備など、幅広い施策が盛り込まれています。
       詳細は、3月頃に明らかになるとのことです。
       中小企業庁などのホームページで募集の発表がありますので、情報収集には注意しておきましょう。

      https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2020/pdf/chushokigyo.pdf


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      令和2年1月15日 不思議な源泉所得税の不思議な改正

       顧問先の皆さんの最も身近な税金の一つに源泉所得税があります。
       給料を支払う際に源泉徴収をするのですが、関係者は、顧問先様(給与支払者)、税務署、そしてサラリーマン(受給者)です。給料の所得税の本来の納税義務者は「受給者」であるはずですが、手続法としての国税通則法上は、受給者は「納税者」には該当せず、また給与支払者は、所得税法上は「源泉徴収義務」として規定されています。実際に給料から所得税を天引きして支払うのは給与支払者(源泉徴収義務者)です。
       源泉徴収義務者が天引きした所得税を税務署に納税しなかった場合はどうなるか。税務署は給与支払者に対して納付の告知をして徴収することになります。天引きをしていなかったとしても納税義務を負い、そのうえで受給者に求償するという関係です。納税という点では、税務署と給与支払者の関係だけで済んでしまい、本来所得税を負担すべき受給者は「納税者」から排除された形になります。企業サイドから見ると、他人(受給者)が負担すべき税金について税務署から告知、督促、滞納処分を受けるという不思議な関係=まぎらわしい法律構成がとられています。
       おまけに源泉徴収の誤りを確定申告で精算することも原則認められていません。子供がアルバイトで扶養家族を外れてしまったとしても、給与支払者が年末調整をやり直して税務署へ納税を行うことになっているので、受給者本人が確定申告で精算することは認められません。
       このように見てくると、源泉徴収制度は見直ししなければならないと思われていましたが、政府が決定した令和2年度税制改正大綱ではとんだ「改正」があります。今回の改正では、税務署長は白色申告の個人事業者、白色申告の法人等における従業員別の給与の支払い金額の「推計」が困難である場合には、各従業員に同じ額の給与を支払った者とみなして所得税を徴することができることとし、推計により所得税を徴収できる旨が法令上明確化されるとのことです。
       皆様のように「青色申告者」は対象外の改正内容になっていますが、税制改正には時々不思議な改正が紛れ込んでいます。


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      令和2年1月6日 新年を迎えて

      新年あけましておめでとうございます。

      昨年は元号が改まり、吉野彰氏のノーベル賞受賞、ラグビーワールドカップでの日本代表の快進撃など、嬉しい話題で我が国が世界にその存在感を示した一方、全国各地で相次いだ台風の上陸やそれに伴う河川の氾濫など、自然災害の脅威と対策の重要性を痛感した1年でもありました。幸い、地元愛知県では大きな被害がないと思っていましたが、全国的な製造業のネットワークが寸断され、思わぬ業績悪化を強いられている顧問先も複数あります。
       また、我が国経済は、米国と中国の貿易摩擦が安全保障も絡めた対立に発展していることから、企業収益に陰りが見えはじめ、景気の減速感がにわかに強まっております。昨年10月に消費税率が引き上げられました。我が国経済は、消費税増税に対する景気の落ち込みが懸念されたものの、政府の各種政策の効果もあり大きな反動は生じていないとされていますが、予断を許さない状況にあります。

      一昨年に大幅拡充された法人版事業承継税制(特例措置)に加え、昨年には個人版事業承継税制が創設されました。いずれも施行から10年間の時限措置となっており、制度の適用を受けるための承継計画の提出は施行から5年以内となっています。経営者の高齢化に伴い、休廃業・解散件数は増加傾向にあり、70歳以上の経営者の約半数は後継者が決定していないなど事業承継に対する準備が進んでいない状況にあります。
       このような状況のなか、顧問税理士という立場で関与先企業の経営に日常的かつ長期間にわたって関与している当事務所としては、事業承継においても重要な伴走者として、相談に積極的に対応していきたいと思います。

      また、近年、税務実務関連でのデジタル化対応が急速に進んでいます。本年でいえば、スマホでの確定申告の利用対象者が拡大、4月からは大企業の電子申告義務化がはじまり、年末調整も電子化に対応します。これらICT化にも事務所を挙げて対応していきたいと思っています。

      本年もよろしくお願い致します。


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